Perfume to 私 と BABYMETAL

PerfumeとBABYMETALのレフトなファンの戯言

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第1章5 

旧式の太陽光発電パネルの損傷もひどく、思うように移動できなかった

命綱となるものもなく、プラスチック製の骨組みを辿っていた

結局、衛星軌道基地までは3日かかりそうだ

ヘルメットのモニタに映し出される彼女の事ばかり考えていた

もしできることなら彼女に会いたい 何だかそれが自分の生きる意味のような気がしてきた

いや 逢いたいではない 

守りたい

どうやら あの将校は彼女を誘拐するためにこのデータを必要としていたのだ

それにしても何故、衛星軌道基地の特殊訓練所の将校レベルブロックに彼女のデータがあったのだろうか

ただならないことが、彼女の身に起こるとしたら…


救助艇や修理艇が頻繁に行き来をしている

NOTCHIは身を隠した

救難信号も止めた

たぶん、あの事故で死んだと思われているだろう

だったら、自分は自由だ

いままでのNOTCHIだったら、こんな事は考えなかっただろう

でも、彼女の笑顔を見てしまったのだ


自分の位置から2千メートル付近に資材艇が停泊していた

NOTCHIは、なんの躊躇もなく太陽光発電パネルを蹴った

無重力空間に投げ出された

視界には美しい地球が広がっている



YUKAは研究所の制服を脱いだ

「はぁ~」

武器をつくるために研究職に着いたのではない

しかし、時代は彼女の頭脳と技術に目をつけた

最初は自分の能力を発揮できることに喜んでいた

しかし、自分の開発した技術が武器開発目的として利用されていることを知ってからは

気が重たくなった

誰とも会話ができなくなり

仕事が終わっても部屋に閉じこもるようになった

やめたい もうなにも開発したくない

しかし、軍はそれを許すはずはなかった

あきらかな脅迫として、軍の施設内に家族が強制的に引っ越しさせられた

あの日…

そう あの日のことを思い出しそうになった


「は!」

YUKAは目を覚ました

NOTCHIが大きな瞳で覗き込んでいた

「うなされていたよ…大丈夫?」

「え?気にしないで…」

水面が朝の光を反射して煌めいていた

「これからどうするの?」

YUKAはNOTCHIをみつめてこういった

「もうすぐよ」


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Posted on 2009/12/02 Wed. 21:16    TB: 0    CM: 0

第1章4 

いつものクセで、帰還後は必ずスーツの酸素シートを補充することにしていた。
だから、あと48時間は大丈夫のはずだった。
問題は、この旧式発電パネルにひっかかった自分を誰が見つけだしてくれるかだ。
救難信号は発信し続けているが、自分のような階級は後回しになるだろう。
あれだけの大事故…いや、事故ではないな…
状況から考えると、あの将校が犯人だろう…

NOTCHIは後頭部のメモリ読み込みボタンを少しだけ躊躇したが押すことにした

突然
小さな男の子と女の子を抱きかかえた避難民らしき女性の映像が映し出された
笑うと頬にできるエクボが素敵な女性だった
年ごろは自分と同じ
質素というより粗雑な服装なのに、なぜか気品を感じた
自分もこんなふうに女の子らしく育ちたかった
観ていると心が和む映像ばかりだった
だけど…なぜ…こんな動画が…

なにか仕掛けがあるようだ
隠しフォルダがかなりの量あることを確かめた
データ解析をするためのプログラムを、後頭部に埋め込んだ生体チップで計算させることにした
もちろん軍規違反である
かなり難解な暗号化だったが、解読には自信があった
時間は充分にある
もしかしたらこのまま死んでしまっても不思議じゃない



YUKAは眠ってしまったNOTCHIの顔を眺めていた
大きな睫毛が美しい顔の輪郭をさらに強調している
静かな寝息を立てている
川面には街の夜景が映っていた
少し気温が下がってきた
二足歩行運搬機の金属パネルが冷たくて肌に貼り付くような感覚がする
NOTCHIの肩を引き寄せた
時折、パトロール艇のサーチライトが差し込んでくる
YUKAは束ねていた長い髪をほどいた
もう老婆に変装する必要はないだろう
残った財産はこの二足歩行運搬機だけだ
朝から何も食べていない
お腹がキューッと鳴った
YUKAは静かに瞼を閉じた




どれくらいの時間が経ったのだろう
破片やガスはなくなり、自分の状況がハッキリしてきた
自分がひっかかっているこのパネルを辿っていけば、戻れそうだ
遥か彼方に見える居住区まで2~3日はかかるだろうが…


このまま、死んでしまうのもいいかなぁ~と思った
思い起こせば、自分が生きているという実感がなかった
誰かのために生きているわけでもない

幼い頃から軍事施設に預けられていた
ただ命令に従っていれば生き残ることができる

モニターの画面が切り替わった 
DNA照合データなど
彼女に関する膨大な量のデータが表示されはじめた



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Posted on 2009/12/01 Tue. 07:47    TB: 0    CM: 2

第1章3 


手錠をはめられ、ロープで縛られて椅子に座らされた

絹で織られたドレスは大仰で自分には全然似合わない

窓から夕日が差し込んで白いドレスの裾を赤く染めている

妹弟のことが心配で泣き続けていた

あの子たち、どうしているんだろう…

せっかく見つけた仕事もやめさせられる…

お腹を空かせているんだろうな…

家賃をやっと払えると思ったのに…

些細なこと 具体的なこと を選んで考えるようにしていた

でないと… 気が狂ってしまいそうだった

なぜ私が…

俯いたまま大粒の涙をこぼしているAYAKA を残して執事のムンクは部屋を出て行った

海峡を越えて外洋に出たのだろう

ウミツバメの姿もなくなり、エンジンの音だけが響いている

逃げなきゃ…逃げなきゃ…帰らなきゃ…帰らなきゃ…

AYAKA のやせ細った手首には大きすぎる手錠だった

手首から血が滲んでいるが

それが潤滑となって、もう少しで手が抜けそうだった

がさごそ… 何か物音がした

カーテンが揺れた

「誰?」

がさごそ…

ふだんなら悲鳴を上げてしまうだろう

ちいさなネズミがこっちに近づいてきた

「お願い、このロープを齧って切って…」

そう願った…

すると違うネズミも寄ってきた

四匹のネズミが、なぜか自分が願ったとおりに 縛られているロープを齧りはじめた

なぜか、嫌悪感がなかった

あんなに苦手なネズミなのに…

ずる…

右の手錠が抜けた





メトロポリスと市街地をつなぐ最大のライジングブリッジの橋梁にある窪地に潜んでいた

警察の空挺がサーチライトを照らしながら橋を照らしだしている

川面に映るネオンの光を見下ろしながらNOTCHIが、口いっぱいにチーズを頬張りながらYUKAに尋ねた

「ねぇ?聞いていい?」

「そうね…まぁ あなたと一緒ってとこ…」

「え?」

「私は脱走兵なの もう五年になるは…」

「俺は違うよ。」

「ふーん ま いいや。」

「俺は脱走するつもりはなかったんだ。」

「でも、軍警察に追われていたじゃない…なんだか怪しい奴らだったけど。」

「それがよく判らないんだ… あの日…」

YUKAに質問したつもりがいつの間にか、NOTCHIが話をはじめていた。




あの日

衛星軌道基地の特殊訓練所では、各部署で最高の成績を記録した兵士達が二百人以上集められていた

NOTCHIは、その中でも最高レベルの成績を残していて注目されていた

あの日の訓練でも…

通称ディラックの海でのサバイバル訓練を終えて、無事、集合時間に戻れたのはNOTCHIを含めてわずか4人だった

「よし、休息してよし 三まる七五時に司令室に集合しろ シャワーを浴びて着替えてこい!」

伍長は大きな声で倒れ込んでいる四人にそう伝えた

最後の気力を振り絞って大きな返事をして、解散した。

NOTCHIは空腹を満たしたくて食堂に向かったつもりだった。

うなだれて歩いているうちに、司令室近くの将校専用ブロックのドアの前にいた

「やべぇ、間違っちゃった…」

そうつぶやいた瞬間 目の前のドアから出てきた将校とぶつかってしまった

彼が抱えていた書類が床に散らばった

「あ、すいません!」

「馬鹿者!」将校はNOTCHIを力いっぱい殴り飛ばした

つもりだった

ひょい と反射的によけてしまった

将校はにらみつけながら、急いで散らばった書類を拾い集めて走り去っていった

廊下の隅に、レコードシートが落ちていた

「あ、これ!忘れ物ですよ!」

指で注意深く拾い上げてそう叫んだが、先ほどの将校の姿はもうなかった

追いかけようと思ったが、そこまでする義理はないと思った

「まぁ、いいか 伍長に報告しよう」

レコードシートを親指と人さし指で注意深く持ちながら、集合場所まで戻ることにした

あまりにも小さいレコードシートだった

なくさないようにヘルメット後部の収納部分に注意深く差し込んだ

その時

爆音が響き 先ほど将校が出てきた部屋のドアが吹き飛んだ

NOTCHIは床に思いっきり叩きつけられた

警報が鳴り 爆発音が続いた

「レベル4! レベル4!」

壁に亀裂が走り、あちらこちらで遮断壁が降りはじめた

爆発はさらに大きくなり、外壁シールドが壊れはじめているのが判った

空気が真空の宇宙へ吸い込まれていく

急いでヘルメットをかぶり、戦闘スーツを船外モードにした

爆音は聞こえなくなり 瓦礫が飛び散り基地外へ吸い出されていくのが見えた

シャワー室で着替えていた仲間の身体が真空に投げ出され沸騰して破裂するのが見えた

物凄い惨状だった

7ブロックが崩壊していた

数百人の死体が投げ出されていく

防護壁の残骸をつかんでいたが、次の衝撃でNOTCHIも宇宙空間に放り出された

先ほどまでのサバイバル訓練の装備が役に立った

突き出ていた太陽エネルギーパネルの先端部分にロープを打ち込んだ

慣性でパネルに思いっきり身体をぶつけた衝撃で気を失ってしまった

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Posted on 2009/11/13 Fri. 11:24    TB: 0    CM: 0

第1章2 

お婆さんは背中に手を伸ばして、重ね着の間に隠れたいくつかのボタンを押した

シューー

さなぎから蝶が出てくるように、髪の長い美しい女性が、お婆さんの抜け殻を脱いだ

「え?」

「おどろいた? 私 YUKA あなたと同じよ」

「同じ?」

「話は後よ もうすぐ来るよ!」

NOTCHIは急いで防弾スーツを着終えた

このスーツも特殊部隊専用のもので、プロトタイプのようだった

どお!!!!!!!

閃光とともに部屋の壁が崩れ落ちた

額縁が吹っ飛び、燭台や家具が木っ端みじんに砕け散った

轟音は二人の耳を一瞬麻痺させた

YUKAが手で合図を送る

自分の所属部隊と同じ合図だった

砕け崩れた壁の隙間から、YUKAの指示通りに催涙弾を撃ちまくった

正確に撃たれた催涙弾は、その威力をフルに発揮した

敵は先兵が七人 バックアップに四人 路地の出口に軽量砲車が2台 重戦車が3台 

その後方には少なくとも二十人の武装兵がいる

裏路地に入ってきていた先兵七人

マスクをしている彼らに催涙弾は意味がないように思えるだろう

しかし、路地裏で眠っている野良犬達がちゃんと反応してくれた

凄い騒ぎになった

彼らは逃げ場所を求めて大混乱を起こした

これで熱可視ゴーグルは役に立たないはずだ

彼らの動きにタイミングを合わせて、陽動のために路地裏の壁に反射するように催涙弾を撃ちまくった

YUKAは二足歩行運搬機のコックピットに飛び乗った

「今日くらいは素直に、かかってよ!」

イグニッションキーを回すと、旧式熱エンジンが黒煙を吹き上げて動き出した

「ステキよ!」

YUKAは車体の一部にキスをした

ガチャン!ガチャン! 

二足歩行運搬機は物凄い音を立てながら動き出した

軽量砲車が、その動きを熱感知して照準を合わしはじめた

先兵の7人は、まだ二人の位置を把握できていないはずだ

「TKGー24 熱追尾モードを3.4にして発射準備!」

「はい!」NOTCHIは言われるままにモードを変えた

「おどろいてよ!」

YUKAはTD-56 超マイクロ電磁パルス装置のスイッチを入れた

外太陽系戦闘機一機以上の金額がするこのTD-56が、なぜこんなところにあるのだろう?

「ぼーっとするんじゃないよ! いくよ!」

指向性の極電磁パルスが路地の入口付近に向けて発射される

その瞬間に、シールドされた電子装置の全てがフリーズする 

そしてシールドされていない電子部品はすべてショートして破壊される

軽量砲車は、どの電子部品もシールドはされていない

発射装置でショートをおこし、弾倉部分で熱暴走を起こす

それを見事に感知したTKGー24は自動的に小型ミサイルをニ連射した


低い爆発音が二つ重なって響いた

命中した

「さっきの犬は大丈夫? 巻き込まれていない?」

野良犬のことを心配したNOTCHIに対してYUKAは笑顔で答えた

「大丈夫、ちゃんと路地の奥に逃げたのを確かめたわ。」

なに?この人 すごく冷静 そして判断に狂いがない

「今度のモードは?」

「あの3台の重戦車には対電磁パルスシールドが装着されているはず。ということはシステム再起動まであと15秒!」

「再起動音に、モードを合わせるよ」

「え?そんなことできるの?」

「TKGのKは 私の名前からとったものよ」

「え?」

「うそよ 改造したの。 モード674ー3でいいわ」

「はい!」

「再起動まであと2秒以上! 鳴るよ!」

人間の耳では感知できない、システム再起動音が重戦車から鳴った

TKGー24 は三連射した

しゅるるるるるー  しゅるるるるるー  しゅるるるるるー

「今よ!行くよ!」

YUKAは二足歩行運搬機から電磁ソードを抜き出し、スイッチを入れてNOTCHIに手渡した

「使えるよね!」

「うん 得意!」

路地裏に飛び出した

爆音が三つ!物凄い爆風だ

爆風でよろけた兵士が我にかえって身構えた瞬間、電磁ソードを持ったNOTCHIが路地裏に仁王立ちしていた

「いた! こいつだ!」

しかしこの通信は誰にも届かなかった

一分の無駄もない動きで流れるように次から次と七人の兵士を失神させた

最後の一人を倒し、見えを切りながらNOTCHIはいった

「大丈夫!峰打ちじゃ!」

電磁ソードのモードを低く設定していたのだろう

「やるー!」

YUKAの声が響いた

「さぁ!急いで乗って!」

二足歩行運搬機がガチャン ガチャン 大きな音を立てながら崩れた壁から路地裏に飛び出てきた

「え?これで?」

「そう これで逃げるよ!」

YUKAは、ほんの少しだけ振り返った

何年ここで暮らしていたのだろう

崩れ落ちたレンガや黒煙をあげて燃えている思い出の品々

でも、これで気持ちは決まった

狭いコクピットに乗り込んできたNOTCHIの笑顔をみると、さらにその決意は固まった

あっという間に、軽量砲車が2台 重戦車が3台が炎上してしまった

その事態にうろたえている兵士達の間を、ガチャンガチャンと大きな機械音をたてて二足歩行運搬機が通り抜けた

「逃げた!」

指揮官らしき男が叫んだ

メトロポリスの外れ 路地が迷路のように広がるこのエリア

二足歩行運搬機は、その狭い路地を自由自在に逃げ回った







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Posted on 2009/11/12 Thu. 10:49    TB: 0    CM: 4

1章 

黒塗りの高級車三台は海岸沿いの道路を走っていた

小高い丘を越えて視界が広がったところに大きな空挺が停っていた

カモメの鳴き声だけが響いていて、まるで何事もなかったかのように、三台の車を収容して空挺は浮き上がった

AYAKAが目を覚ましたのは海峡を渡る貨物船の汽笛の音が聞こえたからだった

豪華な家具がロウソクの光に照らし出されている

いままでに感じたこともない、とても柔らかいベッドに寝ていた

頭が混乱していて、呆然としながらベッドから起きた

大きな姿見に映っているのがのが自分だと気がつくまで少し時間がかかった

「だれ?」

「わたし?」

そこには貴族礼服の女性が映っていた

「なにこれ?」

「おや お目覚めになりましたね? どこか具合は悪くないですか?」

品の良い執事が部屋に入ってきた

「だれ?おじいさんは?」

「ムンクとお呼びくださいお嬢様」

深々と礼をしたが、その眼光は鋭かった

「ねえ ここは…」

部屋を見渡すと天井が緩やかな曲線であることがわかった

「レディネス家の空挺でございます。」

「空挺?」

窓の外にウミツバメが飛んでいるのが見える

「空の上?」

「大丈夫でございますよ 大きな空挺でございますから。」

「え!」

やっと寝ぼけていた頭がさえてきた

「なに? 私を帰して 妹弟が待っているの 人違いだわ!」

「いいえ あなた様に間違いございません。」

そういいながら執事は両手首に太い鎖のついた手錠をはめた





「ありがとう お婆さん…いや YUKAさん。」

「ん?どこかに出かけるのかね?」

「うん これ以上迷惑はかけられないよ。」

「ふーん いつ私が迷惑だといったんじゃ? まぁいい でも もうちょっと後にしな。」

「え?」

「さっきから路地の入口付近で感じの悪い警官がうろちょろしているよ。」

NOTCHIは窓の隙間から外を見た

「そこからじゃあ見えないよ。ほれ。」

机の下のモニターを指差しながらお婆さんは笑った。

「あれはどう見ても本物の警官じゃないね。ほら、腰の銃がTTGー453型じゃよ。」

「どうしてそれを…?」

「あれを発砲されたら…そうさね この部屋の半分は吹き飛ぶね。」

「あんた…NOTCHIさんや あいつらから逃げているんじゃろ。私にまかせてくれないかい。」

「え?」

「大丈夫 たぶん、あんたより…」言葉を濁して老婆はNOTCHIの手を引いた。

「その暖炉の裏 少し隙間があるじゃろう 手を突っ込めばレバーがある それを引きなさい」

言われる通りにすると、確かにレバーがあった。

ウィーン

 静かな機械音とともに暖炉が回転して隠し部屋があらわれた

「催涙弾と対戦車砲TKGー24をお願いするよ 私にはTD56を2台と…そうTKOー22を持ってきて…判るよね。」

そういうとお婆さんは防弾スーツを投げて寄越した

「急いで着なさい。 もうすぐ奴ら押し寄せるよ。」

TD56なんて特殊訓練でしか見たことがない 

もちろん自分のような階級では触ることは出来ない

なぜ、こんな凄いものが、こんなところに…しかも、2台も…

「ぼーっとするんじゃないよ あんたは自分のことだけを考えて動きな!」

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Posted on 2009/11/12 Thu. 08:01    TB: 0    CM: 0

メトロポリスの裏路地とスラム街 

朝の光が高層ビルの隙間からほんのわずかな時間だけ路地裏に差し込んでいる

産毛がキラキラと輝いている

夜のうちに老婆がきれいに拭いてくれたのだろう

梳いてもらった髪が頬にかかっている

ほんの少し赤く染まった頬

窓の外で昨夜の猫が鳴いた

少女と女性のちょうどまんなかあたりの女性

大きな睫毛を動かし目を覚ました

「おや 起きたのかい?」

スープカップを持って老婆が部屋に入ってきた

「え? ここは…」

「まぁ、食べなさい 話はそれからじゃよ。」

「あ!」

彼女は飛び起きて素早く窓際まで移動した

身を隠すようにして、窓の外を見つめていた

「大丈夫じゃよ 誰にも見つかっていないよ。」

「え?」

老婆はテーブルに座って笑顔で手招きをしている 

いつの間にか、窓の外にいた猫が老婆の横に座っている

「この子も、やっと懐いたわい。」

「にゃー」 猫は少女が近づいてくるまで、目の前の皿に入れられたミルクを我慢する気らしい

おずおずとテーブルのイスを引き彼女は座った

「なんか わからないけど…ありがとう…」

老婆はそれに答えず、大麦パンを切り分けて差し出した

「お腹がすいとるじゃろ。」

「え?」

猫はミルクを舐めはじめた




スラム街から少し離れた軌道車の停留所までAYAKAは走っていた

乗り遅れたら仕事に遅れてしまう

空腹で眩暈がしたが、気力だけで走っていた

そこに、三台の高級車が近づいてきた

一台がAYAKAの行く手を塞ぎ、一台はすぐ傍に止まった

そして一台は周囲からAYAKAが見えないように道を塞ぐようにして止まった

「なんですか?」

車から降りてきた一人の男が電子銃を向けた

ピカ!

気を失ったAYAKAを手際よく黒服の男達は車の中に押し込んだ

「大丈夫か?」

「なにが?」

「まさか殺したんじゃないだろうな?」

「お前は馬鹿か?息をしているだろう。気絶しただけだ。」

「そっか…俺、死じゃったのかと思っちゃった。」

「馬鹿は黙っていろ!」

黒い三台の高級車はAYAKAが乗るはずだった起動車とすれ違い、街とは反対方向へ走り去って行った



「ねぇ? 名前とか聞かないの?」

「ん?教えたけりゃいいなさい。」

「べつに…」

「そうかね じゃあ聞かないよ。」

少年のように話す彼女に老婆は微笑みながらそういった

「あーお腹いっぱい おいしかったよ お婆さん。」

「YUKAじゃよ。」

「え?」

「私の名前はYUKAじゃ 婆ーさんでも良いけどね。」

「へぇー お婆さんにも名前があるんだ。」

「まぁね。 名前があると便利じゃろ」

「俺、NOTCHIっていうんだ。」

「ほー男の子みたいな名前じゃね。」

「だって、俺は男だぜ!」

「ふーん。」

老婆は少し微笑んで、気のない返事をした

「だから、俺はこんなんだけど男なんだ!」

「なにを怒っておるのかね?」

「だって…」

「私はなんにもいとりゃせんよ。あんたが男って言うなら男なんじゃろ。」

「…」

「人にはいろいろ事情ってモノがある。この歳になればそれくらいのことはわかるよ。」

老婆は笑いながら部屋を出て行った

NOTCHIは、机に突っ伏した

目尻には涙が零れていた。

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Posted on 2009/11/10 Tue. 16:57    TB: 0    CM: 6

序章 

 小雨が煙っていた

 老婆は裏路地の物音に目が覚めた。

 誰かがゴミの集積箱に何かを投げ込んだような音だ。

 野良猫が数匹、ゴミ箱に群がっている。

 窓からこぼれた灯が、路地裏を照らしだす。

 ゴミの中に一体のマネキンが投げ込まれていた。

「やれやれ…」 老婆はベッドから離れて、部屋を出て行った


廃油と雨水が混ざって、この大都市の裏路地のネオンを映しだしている

多くの猫は興味を失ったらしく、また小雨を避けて散らばって行った

ゴミの集積箱の中で、そのマネキンは瞼を揺らしていた

薄汚いシャツにジーンズを身にまとっている

全身傷だらけで血が滲んでいる

胸がかすかに波打つ

最後まで興味を失わず残っていた猫が一匹、傷口を舐めている

運搬用二足歩行型機械の足音が路地裏に響いた

その猫は、まるでマネキンを守るようにその巨体が近寄ってくるのを威嚇した

大男に見えるそのロボットの操縦席には老婆が座っていた

「大丈夫じゃよ あんたも家にくるかね?」

機械の巨大な腕がゴミ集積箱の中にさしのべられた

「なんじゃ マネキンかと思ったら…女の子か?」

老婆は表情も変えずに呟いた

猫は何度も振り返りながらその場を去って行った




ポットが湯気を立てていた

隣の部屋から老婆が入ってきた

「やれやれ、運搬機も歳をとりすぎじゃ…」

誰に話すでもなく ぶつぶつと呟きながら食事の準備を始めた

ベッドの上では寝息を立てて、彼女は眠っていた

老婆は彼女の眠るベッドを時折振り返りながら、こまめに働きつづけていた







「おねーちゃん、仕事!」

小さな女の子が

ソファで疲れて眠る、姉を起していた

疲れ切った顔で目をこすりながら少しウエーブのかかった髪の毛をかき上げながら、AYAKAは起きた

「ごめんね 朝ご飯は食べた?」寝ぼけた声で女の子にそういいながら瞼をこすった

「うん、おねーちゃん 私たちちゃんと食べたよ」

弟が空のお皿を持って部屋に入ってきた

「それより、ほら もう仕事の時間だよ」

「あ、大変!こんな時間だ ごめんね」

そういいながら二人の頭を撫でて起き上がった

貧血で倒れそうだった

もう3日以上 何も食べていない

妹も弟も、昨日の夜に家主さんから分けてもらったジャガイモをちゃんと食べたようだ

「今日は給料がもらえるから、パンを買って帰るからね。」「二人仲良く待っていてね」

そういいながら、急いで着替えて出かけて行った

窓に貼り付きながら、二人の弟妹は笑顔で姉を見送っていた


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Posted on 2009/11/09 Mon. 22:12    TB: 0    CM: 0

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