Perfume to 私 と BABYMETAL

PerfumeとBABYMETALのレフトなファンの戯言

07« 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.»09
 

樫野有香さん 誕生日おめでとうございます 

三角形は1点でも欠けると面を構成することはできない。

今、最小数の点で構成されるPerfumeという面はどんどんと広がっている。

しかも、面が大きくなるにつれて3つの点は強く結びついていく。

そうでなければ大きくなれないのだ。

しかも直角二等辺三角形であるためには絶妙なバランスが必要である。

直感的な存在 攻撃的な存在 

そして…それらと絶妙なバランスを取る論理的な存在である かしゆか

もしあなたの存在がなければ、決してPerfumeは成り立たない。

そう書くと、Perfumeのために存在しているから…かしゆか として存在しているから…

あなたの生まれたことを祝っているように思えるかもしれないが

そうではない

あなたが…ラジオやブログで発する言葉や雰囲気…

それがどれだけ大勢の人たちを勇気づけているか…

私も、あなたの笑顔や涙や仕草やそしてパフォーマンスで… 
あなたの存在によって癒されてきたことか…

この時代この時に、生まれてきて、ありがとうございます。

そして、かしゆかとしてだけではなく、樫野有香として幸せな人生を過ごすことを何よりも祈ります。

お誕生日おめでとうございます。
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カテゴリ: もしも高校バスケットボール部マネージャーがPerfumeのライブを観たら

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Posted on 2011/12/23 Fri. 07:20    TB: 0    CM: 2

もしも高校バスケットボール部マネージャーがPerfumeのライブを観たら その9 

根岸の復帰が決まったとき、水野は愛子ちゃんに告げた

愛子ちゃん 今度の試合…出れるかどうか分からないけど…

もし、根岸先輩より活躍できたら…僕と一緒にデートしてくれないかな…

あ…付き合ってとかそういうのは諦めているから…

ただ、全力を出し切ったら…いや…今の僕なら全力を出しても根岸先輩には到底かなわない…

でも、奇蹟を起こせるとしたら… だから…愛子ちゃん。

僕が奇蹟を起こせるように魔法をかけてくれないかな…

なんてことを根岸のトレーニングを手伝っている愛子に向かって、心のなかで語りかけ、勝手に盛り上がっている水野に怖いものはなかった


「すみません。ちょっと着地の時に捻ったみたいで。でも大丈夫みたいです。」
根岸は右足を引きずりながらベンチに戻ってきた。そして水野の肩をがっちりと掴んだ。

「悪いな。後を頼むぞ。」

「はい。任せておいてください。」水野はきっぱりとそう言ってコートに出ていった。

「監督、すみません。やっぱり、みんなのスピードはすごかったです。」

「そうだな、うちの選手のV字やL字カットの動きが凄くいいな。」

「みんなに合わせて動いていたら、思ったより負担が大きかったみたいです。」
「で、これでとにかく12点って考えたら…調子乗っちゃって…」

「でも、いいタイミングだった。ダンクを決めた瞬間、相手チームはメンバーの総入れ替えを考えたはずだ。だが、不幸中の幸い。お前が派手に倒れてくれたおかげで交代のチャンスを逃してくれた。」

「そうですか。そういってもらえると嬉しいです。」

滴り落ちる汗をタオルで拭きながら、笑顔で根岸は監督にこたえた。

「で、相手チームはどうだった?」

「はい、監督の考えているとおり、エンジンがやっとかかってきたみたいです。」

「そっか、水野がどれだけお前と同じ働きができるかどうかにかかわっているな。」

その時、はなちゃんが叫んだ「監督!」

水野が、先ほどと全く同じように市谷からタップパスを受けてダンクを試みようとした。

ドーン!

見事に水野は失敗してお尻から床に落下した。

ピーー! 「トラベリング!」審判が笛を吹いた。

会場に爆笑が起こった。

水野はのろのろと立ち上がり、ディフェンスに戻った。

「水野くん!頑張って!」はなちゃんは叫んだ!

水野は泣きそうな顔でベンチを振り返った。

はなちゃんは、手に持った鉛筆で愛子ちゃんの方をちょんちょんと指さした

「グッジョブ!」監督ははなちゃんを褒めた。

愛子ちゃんはスコアをつけるのに必至だったが、はなちゃんの声で顔を上げたところだった。

水野は愛子ちゃんがいってくれた言葉だと勘違いしてくれた。

それからの水野の動きは冷静に戻った。

相手の控え選手の動きが良くなってきたこともあって、試合は均衡した。

62対82で第3ピリオドを終えた。

「よし、相手はこのまま控えの選手を出し続ける。もしかしたら、さらに控えの選手を出してくるかもしれない。いいか、2分過ぎたら一気にオールコートゾーンプレスだ。」

「はい。」

「点差が詰まって、スタートメンバーに変わったら、スティールを狙え。そして、辻は3ポイントシュートに見せかけたエンドライン付近へのループパスだ。」


四條八須の監督は、応援席の保護者に気を使っていた。特に父母会長の息子をどのタイミングで出すか迷っていた。その為、コートで網津が狙っていることに気がつかなかった。

残り8分で20点差。四條八須は父母会長の息子に交代を告げた。

その時、突然、網津の動きが変わった。

物凄い動きでオールコートゾーンプレスをかけてきたのだ。

それだけではない。

ドロップスの応援に合わせて、突然、大きな怒鳴り声が重なってきたのだ。

そう、仕事を終えて漁協青年チームの人達が応援に駆けつけてくれたのだ。

「網津!!」 体育館が震えそうなくらい、海で鍛えた銅鑼声が響いた。

焦った四條八須の控え選手はミスを連発した。

点差を詰められていく… 18…16…15…14…差

残り7分で14点差。 普通に逆転できる点差に縮まった。

「タイムアウト!」四條八須はタイムを取った。

田中監督は満面の笑顔で選手を迎えた。

「よくやった。これで…じっくり30分間身体を冷やした選手が出てくるわけだ。」

「は?」

「集中力が一旦とれた選手、身体を休ませてしまった選手が出てきても恐ろしくない。」

「はい!」

「積極的に行け! 前半に抑えられたプレイが出来るはずだ!」

「はい!」

「彼らは自分たちが思っている以上に焦っている。必ずファールをもらえる。」

監督の計算通りだった。

突然の圧倒的な応援

スピードが落ちるどころかエンジン全開の状態の網津の選手

急な交代で焦って出てきた四條八須の選手

11…9…7…点差 残り1分

ピーー! 辻が3ポイントシュートを打とうとした瞬間に四條八須のガードが接触した。

時計が止まり、辻はフリースローラインにたった。


「おい、辻! 一緒にバスケットボールやらないか?」

中学生の時にイジメにあってから、自宅にこもりがちになり、摂食障害を起こして肥満になっていた自分に声をかけてきたのは立岡だった。

「まぁ、部活に入らなくてもいいんだけど… ダイエットのつもりでさ…」

立岡は誘いながらも、辻には無理だと思っていた。

体育の時間でも、あまりにも走るのが遅くて馬鹿にされている奴だ。

だが…辻はとても頭が良くて性格の優しい奴だった。

クラスの男子全員を誘っておきながら、彼だけを誘わないというのは、彼を無視したことになる。それは嫌だ。

立岡は、彼の返事を待った。

「うん。やってみる。」辻はそう答えた。

その時、辻は単純に誘ってくれた立岡に感謝しての返事だった。

だが、練習はきつく初日でやめようと決心した。

根岸が辻の肩をつかんだ。

「もしかして、子供の頃バスケットやっていた?」

「あ…ん ちょっとだけ。父親が小学生の頃、よくシュートの打ち方だけ教えてくれたんだ…」

「へぇーやっぱり。でミニバス?」

「ううん。僕が住んでいたところは少年野球が盛んでミニバスはなかったんだ。」

「ふーん。お父さんはバスケット関係の人?」

「いや、高校の時にバスケットをやっていたらしい…」

「そっか…それであんなにきれいなフォームでシュートを打つんだぁ…」

「え?」

「今度教えてよ。俺はスリーポイントシュートの成功率が低いから…」

根岸は辻の肥満のことをまったく気にしていないようだった。

ほとんど練習についていけない状態でも辻は休まなかった。

田中監督はいつも基本的なトレーニングメニューを終えるまで辻に付き合っていた。

上級生たちが監督に不満を持った。

「なんで、フォーメーションとか技術指導してくれないんですか?」

「どうして走ってばかりなんですか?僕たちは陸上部じゃありません。」

田中監督はそれでも、選手たちを走らせ続けた。

そして、練習の終わり際にいくつかの技術を教えた。

それはとても簡単でありながら、実戦に役立つものだった。

しかし、多くの部員はそんな基本的なことはやりたくなかったのだ。

ひとり、またひとりと先輩たちは辞めていった。

残ったのは1年生の立岡 辻 吉川 根岸 市谷だけになった。

辻は意地でも辞めなかった。ここで辞めたらすべてが終わるような気がした。

やがて体重は落ちていき、信じられないくらい走れるようになった。

根岸の3ポイント成功率はすでに辻を超えていたのだが、吉川や立岡が教えを乞いにきた。

自分の居場所をやっと見つけたような気がした。

2年生に進級したときに、監督が辻をキャプテンに推薦した。

選手のみんなは、彼が一番苦しかっただろうことを知っている。そしてそれを乗り切った彼を尊敬していた。

このフリースローで三点が決まることをチームの誰もが疑っていなかった。

音はしなかった… 

あまりにもきれいなシュートだった。

4点差になった。

残り時間1分。



四條八須の監督は網津高校がタイムをとるのを待っていた。自分たちはあと1回しかタイムが取れない。網津は2回残っているから必ずとると信じていた。

だが、網津は残り時間30秒を切っても時間を取らなかった。

4点差を逃げきるための指示をするために四條八須はタイムをとってしまった。

「いいか、24秒を使い切れ。時間をかけて攻めれば良いのだ。」

ホイッスルが鳴って試合再開。

突然、立岡が相手ボールをスティールした。

一瞬の出来事だった。

時間を使うためにパスを回そうとするのを見逃さなかった。

水野は相手ゴールに走りこんでいた。まるで立岡がスティールするのを知っていたかのようだった。

美しいレイアップシュートが決まるはずだった。

しかし、シュートはリングに当たって跳ね返ってしまった。

バシ! 市谷がリバウンドを取った。

そう、水野が外すのを知っていたかのように走り込んでいた。

四條八須の選手が焦った。

ピーーー! 市谷のタイミングをずらしたリング下のシュート

スポッ 

四條八須の選手に接触されながらも見事にシュートが決まった。

2点差。

「シュートカウント! ワンシュートペナルティ!」

審判のジャッジが体育館に響いた。

っわあああああ! 物凄い声援が上がった。

次の試合に控えてコートに集まっていたチームからも歓声が上がった。

誰も予測していなかった。

四條八須が一回戦で弱小網津高校に敗れるかもしれない…

声援のなか、いちばんフリースローが苦手な市谷

ペナルティーシュートが決まれば1点差だ。

ここで四條八須の監督は大声を上げた。

だが、その指示は選手に届かなかった。

さっきタイムをとらなければよかった。四條八須の監督は床を叩いた。

ここで1点差になっても、残り時間は8秒しかない。

8秒間ボールを保持すれば勝利は確定なのだ。

冷静な選手であれば十分に理解しているはずだ。

だが、四條八須はこのような試合展開を経験していなかった。

さらに会場の盛り上がりは凄すぎた。

そして…網津の監督はここで吉川に代えて根岸を入れたのだ。

その意味するとこをを、四條八須の選手は理解できなかった。


市谷はゆっくりとシュートを打った。

しかしそのシュートは山なりではなく一直線にリングに向かった。

その瞬間、四條八須のキャプテンは気がついた。

だが…遅かった。

リングにあたったボールに根岸が喰らいついた。

水野は腰を落として進路を確保した。

走りこんできた市谷にタップされたボール。

市谷は真後ろにパスを出した。

立岡のスクリーンを使って走りこんできたノーマークの辻がいた。

辻は柔らかく美しいフォームでボールを解き放った。

高いループ。

静寂

試合終了のブザーの音

音もなく

ネットを揺らすこともなく

ボールは床に落ちた。

審判の手が上がる。

両手の指が三本、親指人差し指中指立てられている。

ピーーーー! 3ポイント カウント! 試合終了!

78対77

公式戦でも連敗記録を阻止した網津高校男子バスケットボール部だった



カテゴリ: もしも高校バスケットボール部マネージャーがPerfumeのライブを観たら

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Posted on 2010/11/22 Mon. 14:56    TB: 0    CM: 0

もしも高校バスケットボール部マネージャーがPerfumeのライブを観たら その8 

 いまさらですが、この記事は フィクションです  実在の団体や個人とは一切関わりがありません
さらに 私にはバスケットの知識が乏しいので、間違ったことを書く危険性が大きいです 
というか間違いだらけです。
まぁ おとぎ話として楽しんでもらえれば幸いと、ここまで続けてきました。

(誤字脱字は注意して直していきますが… 
ただ、書きたい衝動が強いうちに書き上げたいと思いアップしてきました。
時間がないので、少しの暇を見つけて書いているので矛盾が生じているかもしれません。
誤字脱字文法上の間違いなど気がつき次第、過去に戻って修正していきます。)

ではでは  続き…

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選抜予選の地区大会の抽選から帰ってきた監督は、複雑な表情をしていた。

選抜大会はトーナメント方式で、クジ運によって結果が大きく左右される。

春の高体連選抜大会地区予選結果のベスト8まではシードとされているが、参加校の数により一回戦から8位のチームと当たることになっていた。そして網津高校はその位置に名前が書かれてあった。

相手は四條八須高校。前年度ベスト3まで勝ち残った県大会出場常連校である。

はなちゃんは、選手を見渡した。しかし誰も暗い表情はしていない。

「やった!四條八須とやれるんだぁ!」立岡が大声で喜んだ。

監督の表情がやっと和らいだ。

「よしよし、合格だ。いいリアクションだ。」監督の表情が和らいだ。

選手たちは早速、昨年度の四條八須高校の試合のビデオテープを探し出して研究を始めた。

愛子は夏合宿を終えて達成感があったのか、積極的にマネージャーの仕事をするようになった。
聞くところによると「トラッキーのパーマネント」とかなんとかいうマネージャーの本を買ってきたらしい。

はなちゃんは、夏休みを終える頃には、伝えるべきドリブルやパスの技術を出し尽くしてしまったので不安に思い、監督の戦術を少しでも理解できるようにとバスケットボールの専門書を読みあさっていた。

根岸も予定より早く回復し練習に参加し始めた。
このチームのハンディは身長差だが、根岸の復活は大きい。
他のチームだってそれぞれ問題を抱えているはずだ。
どれだけ基本に忠実に、冷静にプレイが出来るかを課題とした。
なぜなら急激に身長は伸びないし、短期間で劇的に技術が向上するわけはない。
どれだけミスをしないか。どれだけ助けあうことができるか。
そして、どれだけ走り続けることができるか。
今の網津高校男子バスケットボール部ならできるはずだ。
はなちゃんと愛子ちゃんは、手作りの垂れ幕を完成させた。
「走れ!一歩でも多くコートに足跡を残せ!」

そうそう、合宿には連れていかなかったが新入部員が3人増えた。
彼らは学校祭での男バスの雰囲気と、懸命に練習している姿と…なにより藤原先生が副顧問であることから田中監督に途中入部を申し出たのだ。

監督は合宿期間中に、指示したトレーニングメニューを完全にこなすことができたら入部を認めるといった。彼らは物凄い根性を出して、そのトレーニングをこなした。それどころか、自主的に基礎練習を追加してたのは、すべて副顧問藤原先生の魅力によるものだった。

一学期は、放課後の国語講習の担当のため、ほとんど練習に顔を出すことはなかったが、二学期からは、愛子とはなに仕事を教わりながらマネージャーの顧問として練習に参加するようになった。

 奈央と佳子は、自分たちでチアリーディング同好会を立ち上げて練習に励んでいる。

この後、網津高校がどんな快進撃をしていくのか?

なぜ部員全員で、Perfumeのライブに行くことになったのか?

はなちゃんと根岸の間に何が起こるのか? そのとき立岡と吉川は…

 それはまた別の話…     

第1部 完














第2部 激闘

 奈央と佳子と藤原先生のチアリーディング部。衣装ははんちゃんと愛子ちゃんがつくってくれた。

オレンジ・グリーン・イエローの衣装はとても目立った。

たった三人の応援。相手側には百名をこす応援。

網津高校男バスの応援は、根岸の父親と吉川の母親。そして、愛子ちゃんの両親と、チアリーディングのドロップスの三人だけだった。

第2ピリオドが終了間際まで健闘していた。 32対45

しかし、残り3分で四條八須高校はオールコートプレスをかけてきた。

対応策は十分に練習してきたつもりだが、四條八須は試合慣れしていた。

ベンチの応援によるプレッシャーも大きかった。

網津高校の選手がミスをしたのではない。

巧妙な罠にはまったという感じだった。

あっという間に点差を広げられて 34対66 でハーフタイムに入った。

汗がぽたぽたと滴り落ちている。

愛子からタオルを受け取りながら選手たちは監督の指示を待った。

32点差を残り2ピリオドで逆転するのは、不可能に近い。

四條八須高校ベンチは勝利を確信して、談笑している。

相手側応援席も和やかなムードだ。

コートでは次の試合チームが、大きな掛け声を掛け合いながら練習をしている。

監督は、まず息を整えろと指示しただけだった。

その時、大きな声で「網津!!!!」と叫んだ。

オレンジ色の奈央が、応援ベンチの前に飛び出た。

少し遅れて、グリーンの佳子とイエロー藤原先生が並んだ。

「フレ!フレ!網津!」

たった三人の声は、体育館の中でかき消されそうだった。

三人を見て相手側、応援席から笑いが漏れた。

恥ずかしがっている場合じゃない! いえ、笑われたって平気!

みんな、あんなに頑張っているんだもの。 もっと大きな声で!

奈央は佳子と藤原先生を見た。

三人とも同じ思いだった。

三人の声にあわせて、数少ない保護者が声を上げた。

はなちゃんと愛子も合わせて声を上げた。

「よっしゃー 期待されているぜ。 奇蹟を見せようぜ!」辻が言った。

監督は作戦ボードを見せた。

「いいな、相手はこの点差だ。次の試合にむけて、必ず控えの選手を出してくる。」

「はい。」

「だが、選手層が厚いのが四條八須の強さの秘訣でもある。ただ…」

「ただ?」選手全員が息を飲んだ。

「藤子! お前ならどうやってあのプレスの中、ボールを運ぶ?」

突然指名された藤子は、自信のある表情でこういった。

「僕なら二人で運びます。」そういって作戦ボードを監督から借りた。
立岡がエンドラインから左サイドにハーフラインから戻ってきた吉川にボールを出し、飛び出した立岡にすぐマイナスパスをする。立岡はワンドリブル後すぐに、走りこんだ市谷か水野へロングパスを出すか、ハーフライン付近の辻にパスを出す。という説明をした。

「そうだな、模範解答だ。だが…」

「相手はそれにすぐ対応するだろう…そこで…」

監督は根岸を見つめた。

根岸は無言でウォーマーを脱いだ。

「はい、大丈夫です。行かせてください。」

はなちゃんは胸がドキドキした。

「いいか、相手は選手層が厚いと言っても二番手三番手であることには違いない。そして、試合に出てお前たちと対戦するのは初めてだ。つまり、この試合に慣れているお前たちとは違うのだ。」

「ベンチからの動きではわからない、試合の流れで中のおまえたちの動きや連携といった点で必ず隙が出る。そして、意味のない余裕を持っている。みろ、あのベンチ。」

監督が指さす方を見ると、四條八須の控えの選手とスタートメンバーが談笑していた。

「さらに、お前たちが上手くボールを運べれば、それは速攻につながる…だが…」

「24秒を、ぎりぎりまで使え。そして、残り5秒で辻のスリーポイントか根岸にループパスだ。」

「四條八須には、点数に余裕があるうちは主力選手との交代はしないだろう。

「第三ピリオドが終わった時点で20点差に詰めるだけでいい。つまり…」

「12点差を詰めればいいだけ…」はなちゃんは、監督の言葉に反応していってしまった。

「そうだ、たった6シュート優位であればいい。」吉川が言う。

「4シュートでいい。だって根岸が囮になってくれる。スリーポイントの感じが良くなってきたんだ。」辻が自分に言い聞かせるように大きな声で言った。

「いいぞ。よくわかっているな。あせるな。それだけだ。」

「絶対に12点差以上は点差を詰めるなよ。」

はなちゃんは、スコアブックに12点と大きくメモした。


第4ピリオド開始のホイッスルが鳴った。

少人数だが、熱のこもった応援をドロップスは続けていてくれた。

水野と代わって根岸が出てきたときに会場からざわめきが聞こえた。

根岸駿 天才的なマルチプレイヤーであり中学2年生の時に国体選抜に選ばれたが、なぜか突然バスケットボール部を辞めてしまった。

その後、彼のことは忘れ去られていた。しかし、今年の春に阿部薬子工業が練習試合で根岸駿そっくりな選手と戦ったという噂はあっという間に広がっていた。

そして今大会の選手名簿に、根岸駿という名前が弱小網津高校のメンバーとして記載されていた。

ほとんどの者は、同姓同名だろうと思っていたのだが…

中学生の頃より精悍な顔になり、身長も5cmは高くなった根岸は6番の背番号をつけて出てきたのだ。

四條八須高校監督はここで主力メンバーに変えるべきだった。だが、32点差であることと、選手層の厚さを過信していた彼は判断を誤った。

四條八須ボールで試合が始まった。

傍目には一進一退の試合に見える。

前半と違うのは、網津がどんなにプレッシャーをかけられてもボールを運べてしまうことだった。

ただ、攻撃に手こずっているのかすごいスローペースな攻撃をしてた。
ロングパスが決まって速攻ができるのに、フォーメーションをセットするのだ。
そう、相手が完全にディフェンスに戻ってくるまで…

前半ベンチにいた四條八須の選手は健闘していた。よく走り、ディフェンスも懸命にやっていた。

しかし、網津のスピードはだんだん早くなっていった。
パス 切り込み リバウンド すべて少しだけ網津の選手のほうが早い。

根岸の動きに気を取られて、辻がフリーになることが多かった。

彼は時間を計算していた。残り5秒で完全にフリーになるようにパスを受ける。

21秒間ディフェンスを頑張ってきた四條八須の集中力が途切れる瞬間。

高い軌道を描いてスリーポイントシュートが決まる。

外れても根岸か市谷がリバウンドを取り、また24秒の攻撃をする。

じわじわと点差が詰まっていった。
なぜ、もっとも得意なプレスをかけて一気に逆転しないのだろう?

はなちゃんは、監督の作戦を考えていた。

その時、辻にマークが厳しくついた。四條八須の監督が指示を与えた選手と交代したのだ。

田中監督はサインを根岸に送った。

辻にパスをだすと見せかけて、市谷にロングパスがとおる。市谷は逆サイドから走りこんだ根岸にタップパスをする…

会場が静まり返った


ガシャコーーーーン!!!!!

根岸がダンクシュートを決めたのだ。

そう、靭帯損傷を負った左足ではない右足ジャンプでだ。

ボールがコートを転がっていく… 41対61

会場がどよめきたった。

四條八須の監督は選手交代を考えた。

その時、根岸が倒れた。

着地の時に左足を痛めたのか…

レフリータイムがとられた。

水野は交代の準備万端だった。

カテゴリ: もしも高校バスケットボール部マネージャーがPerfumeのライブを観たら

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Posted on 2010/11/21 Sun. 16:07    TB: 0    CM: 0

もしも高校バスケットボール部マネージャーがPerfumeのライブを観たら その7 

 いまさらですが、この記事は フィクションです  実在の団体や個人とは一切関わりがありません
さらに 私にはバスケットの知識が乏しいので、間違ったことを書く危険性が大きいです 
まぁ おとぎ話として楽しんでもらえれば幸いです

(誤字脱字は注意して直していきます ただ、書きたい衝動が強いうちに書き上げたいと思います。
読みづらくて申し訳ありません。)

ではでは  続き…

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吉野高校との練習試合後、メンバーは吉野高校の保護者に招待された。

 牛舎横の倉庫は大人数の芋煮会の会場となっていた。
ラジオ体操に参加していた子供たちもたくさん参加していた。

 互いの選手は、試合中のプレイについて語り合い、どのような練習方法をとっているのかを話し合った。芋を口に頬張りながら、ピポットの姿勢について熱弁している市谷が、あまりにも興奮して芋を喉に詰まらせて、大騒ぎになった。
 辻は、まるで中小企業の社長のように、あちらこちらの大人に頭をペコペコ下げながら、いろいろとなにやら交渉していた。
 今日一日で熱烈なファンになった小中高女子生徒が根岸に群がっていた。

 汗で汚れたTシャツやビブス(ゼッケン)などを牛舎の洗濯機を借りて洗濯していうる愛子は、食事会には参加できなかった。それに気がついた水野はこっそりと会場を抜けだして洗濯を手伝いにいった。

「一人じゃ大変だろうから、手伝うよ。」

「あ、いいよ。もうすぐ終わるし。私も食べに行くから。」

「あのさぁ、はなちゃん…どうしたの…」

「べつに…なんでもないよ…」
そう言うと愛子は、洗濯が終わった衣類などを大急ぎでカゴに入れてそそくさと出て行った。

その雰囲気では、水野は質問を続けることが出来なかった。


食事が終わり、中学体育館に戻ってからは吉野高校との練習試合での問題点を確認して、課題としてノートに記録した。
その後、ミートするパス練習と、フェイクに対する反応などを練習した。
愛子は廊下を借りて洗濯物を干している。雨は小ぶりになっていた。
マネージャーがいない練習は久しぶりだった。
雨雲が太陽を遮り、コートに陽が差さないのもあるが、はなちゃんと愛子がいないコートは暗かった。
 やっと連敗記録を阻止できたことは嬉しかったのだが、なんだか大切な心の支えを失ってしまった網津高校男子バスケットボール部だった。

20時過ぎになって宿坊に帰ってきた。やはり、はなちゃんの姿は見えなかった。
それでも二度目の夕食は鶏の胸肉たっぷりのスープだったが、喉を通らず、前日と違ってみんなの食事は細かった。

食事が終わると和尚様の講話が始まった。

「過去を変えることは誰にもできない。だが、未来を変えることは誰にでもできることなのだ~的な…」
「誰かを傷つけるということは、その人の未来も過去も傷つけるということを忘れてはいけない…的な…」というへんな話し方だったが、メンバーの誰もがはなちゃんのことを考えていた。

和尚様の話は手短で、講話というより小話だった。僅か15分で話を終えると、ふぉふぉふぉふぉ…といいながら席を離れた。

その後、勉強時間だったのだが… だれも集中できなかった。
キャプテン辻と副キャプテンの立岡が、意を決して監督に話をしに行くことになった。が…。二人はがっくりと肩を落として帰ってきた。
「帰っちゃったって。はなちゃん。」
「わんわん泣きながら帰った。って監督が言ってた…。」
「連絡つかないって…」

携帯電話で、はなちゃんに連絡をとろうとしたが、この山寺は通信圏外だった。
その夜は、誰もが眠れなかった。

翌日は晴天だった。3時半起床 そして掃除。4時半から5時朝食
6時までにランニングで中学校体育館まで移動
それから地元小中学生とラジオ体操とバスケット講習会
7時小休憩にヨーグルト入り牛乳を飲み
10時までサーキットトレーニングとアジリティ
11時まで地元のお母さんたちのご馳走をいただき
13時までに吉野高校にランニングで到着
試合形式の合同練習を16時まで行い
それから中学までランニングで戻る
中学校で簡単な夕食を食べた後に19時までシュート練習などの個人練習のあと時間をたっぷりとってストレッチやマッサージを行う。中学校のシャワールームで身体を洗ってからバスに乗り宿坊に帰り20時の夕食
その後、和尚様のとても短い講話のあと就寝時間まで勉強

もちろん、それでは勉強時間が少ないので、バスでの移動時や練習の休憩時間にこまめに勉強をしていた。誰もが無口だった。楽しいはずの合宿が、自分たちの軽率な言動で重苦しいものになっていた。
それでも、ちゃんと合宿をすることがまず大切な事だと確認しあい、愛子の手伝いも下心ないものが輪番で行うことになった。

合宿6日目の夜。
疲れがたまり、精神的にも追い込まれていたメンバー。
明日の昼には、吉野高校と練習試合をしてから帰途につく。
吉野高校の選手はメキメキと力を付けていたし、地元の応援はすべて吉野高校に向けられるから、アウエイでのプレッシャーの練習にもなるだろう。
あっという間の7日間が過ぎようとしていた。
はなちゃんのことは誰一人一時も忘れなかった。

夕食が終わり、監督が本堂に全員を集めた。
「この合宿、明日で終わる。ただ、おまえたちの暗い表情が残念だった。」
愛子もぐったりと疲れた表情で頷いていた。
「とにかく、どんなトラブルでも打ち勝つ精神力が必要だ。」
全員、下をうつむいてしまった。
「そこでだ。肝を据えるための最後の特別練習だ。愛子ちゃん!」
そういわれた愛子は大きな模造紙を壁に貼り出した。
「大肝試し大会!」
監督の汚い文字でそうかかれてあった。

みんな、そんな気分ではなかった。
「監督、はなちゃんのことを話しあわせてください。」辻がそう言うと
「お前たちは目の前の障害からにげるのか!」
「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きてゆく資格さえない!」
と、訳のわからないことを監督は言い出した。

まずは若くて軽いお坊さんが、なぜかキャラクターを変えて話し始めた。
この古寺にまつわる、数々の怪奇伝説。悪霊。墓場の無縁仏の話を鬼気迫る表情で披露するのだ。
なにより一番怖かったのは、蝋燭を持って和尚様が突然現れた時だった。
何人か失禁しそうになった。

地図が渡された。
ひとりずつ、この地図に書かれているそれぞれ7つの経路を通ってかなり離れた高台にある鐘突堂に集合するという。
経路の途中、墓場に隠されたアイテムを持ってこないと、合格にはならないらしい。
午後の練習には重大な用事があるとかいって、監督と愛子ちゃんはこんな準備をしていたのだ。

 「まったく、俺達は高校生だぜ。こんな、真っ暗で、懐中電灯じゃなくて蝋燭の灯だからって…怖いわけないじゃない…」と一人でブツブツ言いながら、辻がスタートした。

 根岸は右足のサポータを確認してから、ゆっくりとスタートしていった。この7日間の合宿でリハビリはかなりすすんだ。だから、根岸がひょこひょこ歩いているのは足の痛みのせいではなく、古寺の墓場のおどろおどろしさのせいだった。

 立岡は思い切り走って行こうとして、階段につまずいて顔面を打ち、鼻血を出してしまった。

 吉川は1日目の夜以降、ずーっと暗い表情で神妙であり、黙って無表情のままスタートした。

 市谷は、科学的に立証されていないものを怖がるのは論理的におかしいので自分は怖いという感情を持つことはありえない…とつぶやきながらスタートした。

 水野はスタートして少し離れた場所で、なんどもふりかえって愛子ちゃんの可愛らしい姿を確認していたが、監督から「早くいけ!」と怒鳴られて泣きそうな顔で歩き出した。

 藤子は…なぜか、大きな声で念仏をとなえながら泣きそうな顔でスタートした。


辻は暗闇を歩きながら、最初は怖がっていたのだが、自然と一人で歩いている自分と問答を初めていた。

「お前、怖いのか?」「怖いといったら怖いけど…でも」
「でも?」「こんなコトしている場合か?」
「はなちゃんのことか?」「そうだよ、はなちゃんは傷ついたよな。」
「そうだよ。」「そうだよな。仲間だと思っていたのに…」
「裏切られたって気持ちがあるだろうな。」「吉川だけの責任じゃないよな。」
「そうだよ。」「俺達全員に浮ついた気持ちがあったんだ。」
「でも、はなちゃん大丈夫かな…」「どうやって帰ったんだろう」
「はなちゃん傷ついて…まさか…」「でも、それくらいショックは大きかっただろうなぁ」「思いつめて…」「まさか…」
妄想はどんどん膨らんでいった。

怖さを感じないための工夫か、自分の本心を確認しているのか…
メンバー全員が同じように自問自答をしながら墓場の暗闇の中、自分の経路を進んでいった。

辻は墓場に隠されたいくつかのアイテムを手にして、早々と鐘突堂に近づいた。
新月で真っ暗闇の中、青白い光りで鐘突堂が浮かび上がって見えた。

なんだ…

辻は息を飲んだ…

女性のすすり泣きが聞こえた…真っ白な影がゆらゆら揺れていた。

一歩も動けなくなった。

誰かが泣いている…。

「え? もしかして…」

振り返ったのは…

「私…絶対にゆるさない!」

「ぎょええええ!」辻は悲鳴を上げて腰を抜かした。

その悲鳴を聞いて、墓場の経路を歩いていたメンバーは鐘突堂に走った。

真っ白な服を着た少女は、はなちゃんだった。

吉川が叫んだ「まさか自殺!」

市谷はなぜか、手で十字をなんども切っていた。

集まった7人全員を見渡しながら、はなちゃんの霊はこういった。

「この恨み…はらさずにおくべきかぁ…」

「ぎゃああ!」

鐘突堂方面から聞こえてくる7人の悲鳴を聞いて、監督と愛子はハイタッチをした。


あの日、はなちゃんは吉川が言っていたことなんて全然気にしていなかった。

仲間を信頼していたし、吉川が自分に好意を持っているなんていうのはバレバレだった。

それでも、浮かれている彼らにお灸をすえるつもりで、泣いたふりをして走りだしたのだから女の子は恐ろしい。

監督に報告に行ったときに、和尚様が電話を取り次いでくれていた。
お母さんが、職場で怪我をして緊急入院したというのだった。

はなちゃんは、若いお坊さんの車に乗せてもらい、あの夜に自宅に急いで帰ったのだった。

愛子ちゃんの表情が暗かったのは、はなちゃんの母親を心配していたことと、マネージャーの仕事を全部自分がカバーしなければいけない重厚感からだった。

それに、部員のみんなが心配するから、はなちゃんのことは話さないようにと監督にいわれたのだ。

部員達が勘違いをしていることをそのままにして、監督は練習を続けたのだ。

幸い母親の怪我は大したことがなかったのだが、監督からの命令で6日目まで家の手伝いをしていたはなは、今日の昼にこの合宿所にやっと戻ってきたのだった。

そして、あまりにも選手が反省しているから、もっと反省させよう!と監督が肝試し大会を企画して、いやがるはなちゃんに幽霊の役割をさせたのだった。

 はなちゃんに土下座して謝るメンバーたち。吉川は号泣していた。

 笑いすぎてお腹が痛くなって泣き出した愛子ちゃん。

 みんなのことが、もっと好きになってしまったはなちゃん。

 いまどき、めずらしいくらい純粋な若者たちをみて感激している和尚様。

 自分の怖い話の腕前にまんざらでもなという表情の若い坊主

 そして、すべての悪巧みが成功して満足気な監督

こうやって、合宿最後の夜が過ぎていった。


最終日の吉野高校との試合。地元の大声援の中で試合は始まった。
あんなに懐いていたラジオ体操の小中学生でさえ「網津高校!ぶっ倒せ!」と声を揃えて応援していた。
合宿中、ずーっと昼食や夕方の軽食をふるまってくれたおばさん達も、網津高校が点数を取られると怒号のような叫び声を上げていた。
7日間の合宿で疲れきったメンバー。
だが彼らにとって、アウエイであることはなんでもなかった。
はなちゃんと愛子ちゃんの声援は5万人のパワーに匹敵するものだった。

結局、合宿にかかった経費は、おんぼろレンタルバスの12万円とガソリン代、それに朝夕の食事代などだけで20万円以下に抑えることができた。
 
「でもさぁ、はなちゃん、よくあんな怖いところで一人でいれたよね」

「あんまり寂しいのと怖いので、愛子ちゃんの貸してくれた動画を…MacBookで観ていたんだけど… なんか、泣けちゃって泣けちゃって…なんていったっけあの動画のタイトル?」

バスはまっすぐな道を夏の陽射しのなか、家路を急いで走っていた。




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Posted on 2010/11/18 Thu. 18:55    TB: 0    CM: 2

もしも高校バスケットボール部マネージャーがPerfumeのライブを観たら その6 

 おんぼろバスはガタピシ揺れながら山道を登っていった。

 学校祭が終わって夏休みに入ってすぐ、網津高校男バスは合宿に入った。

「だめだ、ケツが痛い。」吉川が文句を言い出した。

運転は監督自らしていたのだが、そのスピードの遅いこと遅いこと。

それでも監督が7日間12万円で借りてきたおんぼろレンタバスの揺れは尋常ではなかった。

辻と市谷は英文の問答をしている。合宿明けすぐに英語検定2級を受けるのだ。

根岸はiPodで何かを聞きながらブツブツつぶやいている。

水野と藤子はぐっすりと眠り込んでいる。どうやら初めての合宿で興奮して前日眠れなかったそうだ

なんといっても、この揺れの中で古文の勉強をしている立岡にも驚いた。

はなと愛子は食事の献立や計画表のチェックを終えたので、到着まで少し眠ることにした。

愛子はiPodをはなに手渡した。「これ聴いて。」

「うん、ありがとう…」はなは普段あんまり音楽を聴かない。だけど、愛子の聞かせてくれる音楽は気分を高揚させてくれる、何故か心にしみた。
なぜか文化祭以降、チョコレイト!と言われると条件反射でディスコ!といってしまうのだった。

でも、イヤホンから聞こえてきた曲は今までと少し違った。

窓の外の景色は濃い緑の葉と強い陽射しだったが、その曲には秋を感じた。

まだ経験したことないけど、恋ってこんな感じなのかな?と思いながら聴いていた。


到着したのは山奥の朽ち落ちそうなくらい古いお寺だった。

あまりもの景色に、全員呆然とした。

袈裟をきた若いお坊さんが出迎えてくれた。

「あ、やっと着いたね~」軽い口調だった。

部員は各自の荷物と寝袋をおろした。はなと愛子は食材を持って厨房に案内された。

「今から、檀家に行くからあとはよろしくね~」軽くて若きお坊さんはそういって出て行った。

宿房が隣接していて、かなり大きなお寺だった。

夕食が始まるまでの3時間は勉強時間にあてられていた。
全員、まずは夏季課題を一気に片付けるつもりだった。

予算の関係もあるのだろうけど、この山の上の寺を選んで正解だった。高地なので冷房は必要なく、自然の涼しさで夜は快適に眠れる。さらに虫に悩まされないこの環境は彼らには最適だった。

8時を過ぎたときに、若いお坊さんではなく、100歳を超えていそうな和尚さんが大広間に入ってきた。

「なんじゃ、おまえさんがたは…」

「今日からお世話になります。網津高校男子バスケットボール部です。よろしくお願いします。」

全員、その場で起立して長くて深いお辞儀をした。

「ふぉふぉふぉふぉ…よい挨拶じゃ。」

そういって和尚は手を合わせ深いお辞儀をした。

「で、今日の夕食は…?」

「すみません。お口にあうかどうか…」はながそう言うと愛子が制していった

「あ、ちょっとお待ちいただけますか?」愛子は和尚の口に合いそうなの食事を作るために厨房に急ごうとした。

「ん?心配いらないよ。私はカレーが大好物だ。カレーのほうがいいなぁ~。」

そういって、ふぉふぉふぉとヨーダのように笑った。

はなのお母さんに作り方を教えてもらった人参 たまねぎ じゃがいも たっぷりのお肉少なめのカレーライスだった。

翌日昼食のカレーうどんのために余分につくっていたカレーも彼らはペロリと食べてしまった。

ご飯も明日の朝、炊き直さなければならない。このぶんだと予算オーバーしてしまう。

とはなと愛子は計画の練り直しを迫られた。

夕食後、運動したくて仕方がない彼らはジョギングをすると表に出ていったが、あまりにもの暗闇に怖じ気付いてすぐに帰ってきてしまった。

10時就寝にむけて寝袋を広げ、準備をしたが選手たちは興奮して寝付けなかった。

監督は、「どれだけ遅くまで起きていてもいいが明日の起床3時半は厳守だからな!」と言い残し宿坊を出て行った。

はなと愛子は朝食の準備を終えた。気疲れからかクタクタになってしまった。
愛子は女子用の個室に戻りる、いつのまにか眠ってしまっていた。よほど疲れたのだろう。
そっとタオルケットを掛けてやり、はなは監督とスケジュールの確認をするために和尚さんと監督がいる部屋に向かった。

さて、年頃の男子だ。今日は移動だけで身体を動かしていない。力を持て余しているし、バスの中で少し眠ってしまった。

普段10時といえば、帰宅して夕食をたべている時間帯だ。

こういう時の話題は 怖い話か 女の子の話だ。

この古寺で怖い話をするほど彼らの肝は座っていない。となると必然的に、女の子の話だ。

吉川が口火を切った「あのな 藤子 お前、はなちゃんのこと好きか?」

藤子は突然の攻撃にうろたえてしまった「はい!」

「え!好きなのか! そうかぁ そりゃ大変だ!」」吉川は市谷を見た

「いえ!ちがうんです。今の はい は先輩の質問に対しての はい で…あ違う…えっと…」
しどろもどろになっている藤子。

それに向かって市谷は、のんびりとした喋り方で悲しそうな表情をしながら言った
「藤子。残念だったな。はなちゃんには俺がいる。」

「ええええ!」全員が寝袋から這い出てきた。

あの根岸でさえびっくりしている。

「だって、俺…毎日…はなちゃんと一緒に通学しているんだ。」

「え?それで?」吉川は突っ込んだ

「だって、それって付き合っているってことだろ?」

「え?それだけ?」 

「市谷!お前、なにいってんだよ。」

「お前 あれはペナルティだよ。 っていうかはなちゃんがお前に何か言ったのか?」

「いや、なんにも言っていないけど、眼を観たらわかる。」

「なんだと?」

市谷は吉川と立岡からボコボコに蹴られていた。

この行動で、吉川と立岡もはなちゃんに好意を持っているというのが全員にバレた。

水野はその時の根岸の表情を見逃さなかった。

「でも、藤子はどうなんだ!」市谷を押さえつけながら吉川が詰問した。

「あ えっと…僕は…あのぉ…はなちゃんの友達の…」

「なにぃ~」いつも温和な辻キャプテンが大声をあげながら藤子にフライングボディアタックをしてきた

水野も興奮しながら藤子を抑えつけた。

「愛子ちゃんに手を出したら、ただじゃおかないからな!」

「そうだ、辻キャプテンが許しても、俺は許さないからな!」

これで辻と水野が愛子を好きなのが全員にバレた。

「ちがいます。僕ははなちゃんのともだちの 奈央ちゃんが…」

言わなくてもいいのに、これで藤子の好きな子もバレてしまった。

全員が根岸を見た。

根岸はクールな顔で「俺、もう眠いから寝る。」といって寝袋に入ってしまった。

6人は根岸の寝袋を取り囲んだ。

「ね~ぎしき君 それはないんじゃないかな。」

「そうですよ根岸先輩。それはアンフェアです。」

ビクリと寝袋が動いた。

根岸はアンフェアとかずるいと言われると冷静でいられない性格なのだ。

「ずるいっすよ先輩」

「俺達の告白を聞いておいて、自分はとんずらですか?根岸くん」

根岸が寝袋から顔を出した。

「根岸先輩。さっき はなちゃんの話の時の表情でバレてますよ」水野がそう言うと

全員が驚きの声を上げた。

立岡と吉川と市谷が「負けた!」「絶望だ!」「なんでまた…」と泣きそうな声を小さくこぼした。

そして、突然。

「お前には、佳子ちゃんが似合っていると思う。」立岡が言い出した

「そうだ、佳子ちゃんは藤原先生に負けないくらいの美人だ。」と市谷

「そうだよ。はなちゃんはちいさ過ぎる!それに子供みたいな顔しているし、それに、胸なんかぺちゃぱ…」
吉川が大きな声でそういったとき。

明日の天気は荒れるので起床時間を4時に変更をするという連絡をしに来た はなちゃんが 大広間の入り口に立っていたのだった。



4時に起きて、本堂を一時間かけて掃除し終わって食堂に戻るメンバーたち。

食堂に入った瞬間、全員が顔を見合わせた。 はなちゃんはいない。

愛子もなんだか表情が暗い。

合宿二日目とは思えないどんよりとした空気が漂った。


食事が終わると雨の中、バスに乗って山を下った。

古い木造校舎の中学校の体育館で降りると、地元の小中学生達が沢山いた。

一緒に朝のラジオ体操をした後、彼らにバスケットボール教室を開くことになっていた。

はなちゃんがいないことが気になったが、子供たちの笑顔で少し気がまぎれたメンバーだった。

7時になって子供たちが帰って行くと、愛子が地元産の搾りたての牛乳を全員に配った。

牛乳を飲むとお腹をくだしちゃうという吉川や水野だったが、ヨーグルトを少し入れてあるから大丈夫。
そう言って、愛子は飲み干すまで睨みつけていた。

愛子の言うとおり、ヨーグルト入りの牛乳は濃厚だったにもかかわらず、誰もお腹を下さなかった。


「あの~愛子ちゃん。はなちゃんって…」

そう誰かが質問しようとすると

愛子は鋭い目で睨み返し「さぁ わたしは もう 知らない」というのだった。

監督は、中学校に全員を降ろすとどこかにいってしまったので、午前中の練習は辻と根岸が進めることになっていた。

朝5時の食事だったので、10時を過ぎた頃にはかなり空腹になっていた。

いや、この日の朝食はみんな喉を通らなかったのだ。それでも、これだけ練習したら空腹にもなる。

第1部の練習が終わって1時間の休憩時間になった。

すると、どこかからか美味しそうな肉の香りがしてきた。

そう、朝の子供たちの保護者がごちそうの準備をしてくれていたのだ。

ハンバーグに新鮮な野菜。メンバーはその小柄な身体に似合わない食欲で全て平らげてしまった。

「あれ? 私の分は?」 愛子がコートの後片付けを終えて帰ってきてそういった。

11時からバスに乗ってすぐ近くの高校の体育館に移動した。

体育館ではやる気満々の吉野高校バスケットボール部が迎えてくれた。

一番近くの高校でさえ自動車で2時間以上かかる彼らは練習試合に恵まれていなかった。

顧問もそれほど熱心ではなかったので、練習試合ができるだけで幸せそうな顔をしていた。

そう、数カ月前の網津高校男バス部と同じような顔をしていた。

ただ、体格はよくてやはり平均身長で網津を10cm以上は上回っていた。

田中監督は試合前にこういった。

「一切手を抜くな。それは失礼にあたる。そして…今朝、子供たちに教えたことを忘れるな。」

采配は根岸が行うので、監督と藤子は審判をすることになった。

第1ピリオドから、網津高校は全力を出し切った。自分たちも文化祭前から試合に飢えていた。

朝の練習も試合形式ではなかった。

不安はあったが、頭の中では何度も何度も試合のシミュレーションをを繰り返していた。身体は軽く、パスの正確さも増していた。

32対6 圧倒的だった。

第2ピリオドになると、網津のスピードは更に上がった。

パスカットもすべて成功し、辻の3ポイントシュートも成功率70%を超えた。

途中から吉川と代わった藤子も活躍した。


第2ピリオド終了 79対15

吉野高校の顧問がやってきてこういった

「いやぁ~強いですねぇ~ もう勝負がついちゃいましたね。申し訳ないのですが、ここで終わりということに…彼らも自信がなく

なちゃうから…」

田中監督はひょうひょうとした声でこう答えた。

「そうですか?吉野高校の選手はまだまだやる気満々ですよ。勝負は最後までわかりませんよ。」

そういって吉野高校ベンチを指さした。


吉野高校の選手は作戦盤を囲んで真剣に話し合っていた。

第3ピリオドが始まると、オールコートマンツーマンディファンスを仕掛けられた。

大堀中学女子との対戦以降、本格的な実戦形式の練習は一切していなかった網津高校はまんまとその作戦にはまってしまった。


慌てて相手にパスをしてしまったり、ゴールボードにボールをぶつけたり。

プレッシャーに慌ててトラベリングをしたり…

根岸はタイムを取った。

「あせるな!落ち着け!っていっても駄目だろうな。」

みんなを見つめながら、何を言うべきか悩んでしまった。

ベンチにいた吉川がこういった。

「俺達はなにをやっているんだろうな?なさけないな。昨日の夜といい…この試合といい…」

そういいながらあの吉川が泣き出してしまった。

根岸は「そうだな。せめて勝とうよ。連敗記録を阻止して。ちゃんと勝利して…はなちゃんと愛子ちゃんに謝罪しよう。」



「123…OH!」

タイムを終えた網津高校は別のチームに成長していた。

第3ピリオドが終わった時点で95対47

第4ピリオドでは、網津のスピードについていこうと懸命に走り続けた吉野高校の選手が次々と足を痙攣させて倒れてしまった。

また、疲れからシュートの成功率が極端に落ちてしまい点数を取れなくなってしまった。

それでも、網津高校は攻撃と守備の手を緩めなかった。

そう、今朝、小学生にいった言葉を思い出していた。

「あきらめたら、そこで終わり。全力で頑張り続けると夢はいつか叶うと思う」


試合後、吉野高校の選手は号泣していた。それは試合に負けた悔しさではない。

自分たちの力不足を、努力不足に気がついたからだ。

そして、全力で試合をしてくれた網津高校に対して感激していた。

かれらもまた、試合の中で馬鹿にされることが多かったのだ

彼らの握手は熱かった。強くなるから、また必ず試合をしてくださいという思いが伝わった。

網津高校の選手は、連敗記録阻止がこの場所で達成できたことを誇りに思った。

そして吉野高校の選手はかならず強くなると確信したのだった。 
 


カテゴリ: もしも高校バスケットボール部マネージャーがPerfumeのライブを観たら

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Posted on 2010/11/17 Wed. 18:30    TB: 0    CM: 0

もしも高校バスケットボール部マネージャーがPerfumeのライブを観たら その5 

 いまさらですが、この記事は フィクションです  実在の団体や個人とは一切関わりがありません
さらに 私にはバスケットの知識が乏しいので、間違ったことを書く危険性が大きいです 
まぁ おとぎ話として楽しんでもらえれば幸いです

(誤字脱字は注意して直していきます ただ、書きたい衝動が強いうちに書き上げたいと思います。
読みづらくて申し訳ありません。)

ではでは  続き…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


学校祭の準備期間が近づいてきた。

はなも愛子もバスケットボール部の練習はずーっと休みなく続くと思っていた。

部室に集合したみんなは、田中監督の言葉を疑った。

「お前たち、これからの2週間は学校で練習することを禁止する。」

さらにこう続けた。「クラスの準備や学校祭の委員活動を最優先。っていうか完全燃焼するくらい頑張れ。」

「学校祭で手を抜くような奴は、コートでも手を抜くに決まっている。」

「以上。もし学校で練習しているのを見つけたら…ボールを持って練習しているところをみつけたら…その分だけ練習禁止期間を延長するからな。」

そういって、部室から去っていってしまった。

みんなは唖然とした。 

「ええー!」 吉川が最初に悲鳴を上げた。

「まるまる二週間も練習できないのか! だめだよ。今休んだら…これまでのこと忘れちゃうよ。」

辻キャプテンは黙って何かを考えていた。

「俺、本気の本気で練習する気になっていたのに!」いつも冷静な口調の水野が怒ったように呟いた。

藤子が言った。「確か…監督は 学校というところと…ボールを使ってっていうところを強調してましたよ。」

「そうか やっぱり」辻キャプテンはそう言って、黒板に ボール 学校 と書いた

「学校じゃなくて、ボールを使わなければいいということだ。」

「でも、クラスの準備を最優先。っていうか完全燃焼するくらい頑張れ。ともいっていたよ。」
副キャプテンの立岡が付け加えた。

みんな腕組をして考え込んでしまった。

そこに遅れて根岸が入ってきた。

「ごめんごめん。宿題を提出し忘れて…職員室で指導を受けていた…」

「根岸はどう思う?」黒板を指さしながら辻キャプテンが言った・

「ん?」


なぜか、部室の中にブルーシートで包まれた大きな物体があった。

根岸はそれが気になっていながらも話に参加した。

市谷が低い声で言い出した。
「あのさぁ 去年の学祭の時はすごく練習したけれど…結局、委員会活動やクラスの仕事を抜け出せなかったりして…練習に全員揃ったことって殆ど無かったよな。」

「だけど、あの時は部員も15人はいたし…」吉川はくってかかった。

「でも、中途半端は良くない。それなら、違う方法を探さなければいけない。っていうのが監督の口癖だよね。」根岸がそういうと吉川は黙ってしまった。

「もうひとつ…」市谷は付け加えた。

「人間は崖っぷちに立たないと本気を出さない…ともよくいうよね。」

愛子は腕を組んで、笑いながらうんうんと頷いていた。


はなは、田中監督の真意を探っていた。やっぱり、学校生活をそこそこに楽しんでの部活動なの?

その程度…まさか… 監督の考えていることはもっと深いはずだと…


藤子がゴソゴソとブルーシートをほどき始めた。

「お前何やってんだ?」水野がたしなめると

「これ?なんだ?」そういって藤子は紙切れを差し出した

A4の紙に、監督の汚い文字が書かれてあった

 これで、20万円以上の利益を上げろ!でなきゃ、夏合宿は無し!

ブルーシートに隠されていたのは たこ焼き用のプレートとガスボンベだった。

「夏合宿???」「20万円??」「えーー?」

全員が顔を合わせた。


「あれ?こんなものも入っていたよ。」藤子が手にしていたのは市民プールの回数券だった。

数えると14枚綴りの回数券が人数分揃っていた。

網津高校と駅とのちょうど中間地点に夜9時までやっている市民プールのものだ。

14枚というのは2週間分だ。

天然パーマ一年生の藤子は水泳クロールで中学全国大会出場経験者だった。

全員が監督の考えていることを納得した。

文化祭の準備期間になると体育館は吹奏楽部や演劇部が優先的に使うことになる。

全員揃っていない中途半端な練習をするよりも、学校祭の準備が終わってから全員市民プールで筋力トレーニングをしろっていうことなのだ。

ハンドリングの練習は自宅でやれば良い。 

でも2週間もコートから離れて大丈夫なのか?という不安があった。

それでも、監督の言うことを信頼するしかない彼らは納得するしかなかった。

だがしかし、もう一方の命令のほうが難しかった。

はたして学校祭で20万円以上の利益をあげられるだろうか?

まずはクラスの準備や練習をみんなで懸命に取り組むことを誓い合い

たこ焼きでの利益の上げ方については愛子が考えることになった

はなは藤子とプールでトレーニングの方法を計画することにして、その日は解散した。





はなと愛子と10番天然パーマの藤子は同じクラスだった。今年はバスケットボール部の出し物を担当しなければならないので、当日の役割分担は外して欲しい。だけど、前日までは全力で仕事をやるので許して欲しいと三人でクラス全員の前で頭を下げた。
他のメンバーも各自のクラスで同じようなことを誓ったらしい。

午後7時の市民プールは混んでいた。
水着以外でプールサイドに入ることは禁止されているので、はなと愛子は中学校のスクール水着で参加した。これが、俄然、メンバーの闘志を燃え上がらせた。
藤子は泳ぐのではなく、50mのコースをランニングで往復するという練習から始めた。
さらに、美しいフォームを教わり平泳ぎとクロールで泳ぐ。
藤子は水を得た魚のようだった。なにより自分が男バスに貢献できているのが嬉しかった。
はなと愛子はただただ声援を送るだけだったが、部員にとってはそれがなによりだった。
毎日1コースを専有できたので、計画通りの練習ができた。
たった一週間で全員の身体が引き締まり、姿勢が良くなり、膝や肘、肩に疲労がたまっていた者もその痛みが消えていることに驚いていた。



「はなちゃん、明日、土曜日になにか予定ある?」

「なに、藤くんったらあらたまって。」はなは藤子のことを藤くんと呼んでいた。いや、呼ばされていた。

彼はBUMP OF CHICKEN ファンなのだ。

明日は市民プールを使えない日。クラスの準備も山場をむかえている。学校祭一週間前の土日は完全オフにしたのだ。

「俺たちのクラスで何か準備を頼まれた?」

「ううん。担当の衣装も3着全部仕上げたし、クラスイベント用の食材も全部発注済みだし…」

「じゃぁ、山車の手伝いを手伝ってくれる?それで、午後からちょっとついてきて欲しいところがあるんだ…」

そういって、藤子はトンカチを片手に持って教室から出て行った。

「なになに…アヤシイ~」佳子が側によってきた。

「なに?恋の始まり?」奈央が教室の隅のほうから大きな声をだした。

「ん?たぶん、ちがうと思う…というか絶対違うんだわ。」

はなは、奈央に笑顔で答えた。

奈央は「ふーーん どうだか?」と言いながらミシンとの壮絶な格闘にもどった。

佳子は「隠すのがアヤシイ アヤシイ」と言いながら教室を出て行った。

そのまま、佳子は四階の国語準備室に向かった。

ドアをノックすると全校生徒憧れの的 マドンナというか女神というか…若くて美人で清楚で優しい藤島先生がでてきた。
佳子は藤島先生に真剣な顔をしてなにやら相談を始めた。

水野のクラスは大変だった。

初めの計画ではDJブースを教室につくり、本格的なクラブにしようということで、今日まで準備してきた。 

クラスの保護者から借りる予定の高性能のオーディオシステム。それに重低音が響く大型スピーカーなどの手配もすんでいてクラスの飾り付けを始めようとしていいたところだった。

しかし、文化委員の提出書類の不備で電源の確保ができなくなったのだ。

もう他のどの場所も予定が組まれていたの。泣く泣くクラブを諦めて、ただの喫茶店をすることになったのだ。 

友達と手配に走り回っていた水野とDJをやると張り切っていた友人の蔵場はすごく落胆していた。



キャプテンの辻は生徒会室で懇願していた。バスケットボール部のイベント場所として旧体育館を貸して欲しかったのだ。

しかし、今年はバンド発表が多く、演劇部もかなりの大作をおろすのでその願いは却下された。

結局、校舎から少し離れた中庭が男バスのイベント場所として割り当てられた。



副キャプテンの立岡は愛子とたこ焼きの値段を決めていた。

立岡のクラスはクラス自主映画上映館で撮影はほぼ終わり、放送局員が編集作業に入っていた。

小道具大道具係の立岡は時間が自由になった。

後は山車の制作監督だけだが、順調に作業も進んでいる。

そこで、本格的に男バスはどんなイベントをするのかを検討し始めたのだ。
愛子ははなよりも裁縫が上手なので、男子生徒の衣装のほとんどを彼女が短期間で作ってしまった。

これで予定よりもかなり早く男バス部のイベント準備にかかれたのだ。

市谷と吉川と根岸はクラスの仕事にかかりきりだった。


遠くにバスが見えた。藤子とはなは、海岸に向かうバスを待っていた。

おばあさんが向こうの方から走ってくる。バスに乗りたいのだろうか?あの速度だと絶対に間に合わない。

そう判断したはなは藤子を見た。藤子はすでに走りだしていた。

小柄な藤子がむりやりおばあさんを背負い、猛ダッシュでバス停に戻ってきた。

はなは、わざとのろのろとバスのステップで時間稼ぎをしていた。

バスの運転手がマイク越しに言った「大丈夫だよ、まだ定刻じゃないんだ。

おばあさんが来るまで待つから、お嬢ちゃん、早く乗りなさい。」

はなは真っ赤になりながらペコペコと頭をさげさげバスに乗車した。
おばあさんも真っ赤になりながらバスに乗ってきた。
「あーうら若き女性を何だと思ってんだ…がははは…」
藤子も頭をかきかきバスに乗り込んできた。真っ赤だった。

「あんたたち、どこにくんだい?」
おばあさんは藤子に話しかけた。
「えっと、漁港の漁協市場ってあるでしょう?あそこにお願いがあって…」

「ふーん でも、あそこの市場は一般の人には魚を売れないよ。」

「え?」

「何が欲しいんだい?」

「たこ焼き用のタコなんです。スーパーで値段を見てびっくりしちゃったんです。それで…」

はなは、しどろもどろになっている藤子の代わりに答えた。

藤子は頭はとても良いのだが、話下手なのだ。

さっきも、無言でおばさんを無理やり背負ったらしいのだ。

「ふーん あんたたちデキているのかい?がはははは…」

「あ ただのクラスメイトです」はなは即答した

「ふーん あやしいね。ま、いっか~ がはははは…」

おばあさんの高笑いを乗せながらバスは走った。

窓の外の景色がかわり、緩やかな丘陵にあるグリーン公園を越えたら海が見えた。

やがて漁師町に入りバスは停まった。

漁協市場前でおばあさんも一緒に降りてきた。

「ねぇ あんたたち、漁協市場って朝の8時には閉まっているって知っていた?」

「ええぇ!」

「ほんと、何にも知らないんだね。がははは…」

ふたりはどうしようかと立ち止まった。

「なにやってんだい ついておいでよ!」

いまどき、めずらしく腰が曲がったおばあさんは、ひょこひょこと歩いて行った。




庭にあるバスケットゴールをやっとトラックに積み込んだ。

根岸は病院に行かなければいけないのでいなかったので、吉川と市谷が手伝いにきたのだ。

根岸と同じ無口な父親は軽トラックを運転しながら、やっと口を開いた。

「いつも、駿が世話になっているね。ありがとう。」

「とんでもない。僕たちは根岸くんがいなかったら…今頃、ほんと…っていうか感謝しているんです。」

「そうです、ヘタッピな俺達に親切にバスケを教えてくれて…、俺たちが途中でへばってやめなかったのも根岸くんのおかげなんです。」

「そう…駿がねぇ…ありがとう 君たちのおかげだ。」

それだけ言うと、根岸駿の父親は黙ってしまった。

重たい雰囲気に圧倒されて吉川も市谷も黙ってしまった。


水野の友人の家に三人が揃ったのは日曜日の朝だった。立川と愛子と水野でなんども頭を下げていた。「何言っているんだよ こっちのほうが楽しみだよ。屋外でしょ。俄然ヤル気になちゃった。セッテイングも任せてよ。で、どんな曲を流すの?」
愛子がCDを差し出した。
「くーーー!しぶい! なんか、ちょっとまってよ、もっと重低音が響くシステムにしちゃおうかな」友人の父親は一人で興奮していた。



漁協長の母親の権力は絶大だった。
学校祭当日朝早くに水揚げされた売り物にならないタコは集められる。
その時、漁協の製氷機で作られた清潔な氷を大型クーラー10個と一緒に、網津高校の中庭に運びこんでくれることになった。売り物にならないタコというのがこの世に存在するかどうかは別にして、これでたこ焼きと一緒に売るペプシネックス用の氷の手配もすんでしまった。

朝早くから佳子と奈央も手伝ってくれて、たこ焼きを焼く準備が整った。
田中監督が用意した、たこ焼き器のセットは本格的ではなく、プロが使っていたものだった。
一度に300個焼くことができるのだ。
なにやら、昔、教師を辞めてたこ焼き屋に転職しようと思ったことがあったらしい。
たこ焼きは5個で百円 12個で二百円 12個の中に1個だけ、わさび入りたこ焼きが入っているロシアンルーレットたこ焼きが三百円 (このロシアンルーレットたこ焼きが一番売れた)


カロリーゼロを売り物にしたペプシネックスコーラが1杯120円 コップを捨てずに持ってきてくれたらそれに100円で氷と一緒にお代わりが買えるというシステムだ。

1週間前から募集した3on3の申し込みは殺到した。優勝商品はたこ焼き3人前なのだがものすごい人気だった。決勝戦は男バス部の 辻 立岡 吉川の三人と戦う。ポスターの写真は入部当時の三人の写真だった。この三人に勝てば優勝なのだ。引退した男バス部三年や、田中監督の練習についていけずに途中で辞めた者たち。なかには中学校県大会出場経験者三人を集めたチームもあった。

5分を3本で一試合 次の試合までの15分の間にイベントがある。

まずは根岸の10本連続フリースロー。これは男バス部では大したことがないのだが、素人にはわからない。10本成功したら、たこ焼き12個が百五十円になるだけなのだが、これは大いに盛り上がった。

特に、根岸ファンの女子が大挙して押し寄せてきた。たこ焼き百五十円セットは飛ぶように売れた。売上だけを考えれば、根岸がわざと外せばいいだけなのだがそれをしなかったので余計に盛り上がった。

女子が集まれば男子が集まる。しかも、3on3はルールが簡単だ。見ていて楽しいしすぐに勝敗が決る。それに、すごいシステムで重低音を響かせた音楽が後ろで鳴っている。中庭は少し離れた場所なので、他から苦情は来ない。水野の友人蔵場はDJとして試合の盛り上がりも手伝ってくれた。
なにより、中庭周辺では何も売っていないのでたこ焼きとペプシが馬鹿みたいに売れた。

それだけではなかった。奈央と佳子と藤原先生による1時間に1回のダンスパフォーマンスが、凄い集客だった。校内の男子生徒がすべて集まったかもしれない。

近未来魚屋のような衣装を着て3on3のコートで三人がコートに出てきた。

最初のうちは恥ずかしがっていた藤島先生も、あまりにものオーディエンスの熱狂にノッちゃって、へぇいへぃえい! と煽るようになってきた。
DJ蔵場は重低音を響かせ煽りまくった。

ちゃちゃちゃちゃちゃんちゃらんちゃん ちゃちゃちゃちゃちゃんちゃらんちゃん…

三人が踊り出すと、熱狂は頂点に達した。集まっていたみんなが中庭で指を突き立て、コールしていた。 ディスコ! ディスコ! チョコレイト! デイィスコォ!

この日、藤原先生が男子バスケットボール部副顧問だということが露呈してしまった。


日曜日の一般公開の日はさらに盛り上がった。前日の話を聞いて生徒が集まってきただけではなく、3on3出場する選手の友人や保護者などの一般人も多数集まった。10時には入場制限をしなければならないくらいだった。

ペプシネックスが売り切れたので、水道水を80円で販売したが、これがまたバカ売れした。
プラスチックコップもリサイクル率が高く、ひとつのコップで平均4杯は水が売れた。

それほど、その日の日差しは熱く。 中庭は熱狂の坩堝だったのだ。
漁協の青年部の人たちが3on3に参加するということで、またものすごい盛り上がりになった。
すごい数の家族や親戚、親族一同が集まってきたのだ。
もちろん、あの漁協長の母親も来てくれた。
特等席で、声援を送っている姿は78歳とは思えなかった。

たこ焼きの材料の小麦粉が販売開始後たった1時間で無くなってしまった。
あらたに仕入れに行くにも人手も時間も足りない。
困っていたところに、あまりにも自分たちのお好み焼きやたこ焼きが売れないので小麦粉をタダみたいな値段で買ってくれないかという申し出があった。小麦粉を無料でもらう代わりに、売れ残った食品を中庭で売ることを許可した。たこ焼きはさらに売れ続けた。たくさんの売られるようになり、いつしか中庭がメインステージになり、校舎内や体育館はガラガラになってしまった。

漁協チームは、「網津高校バスケット部を途中で辞めたけど中学校の時はすごかったんだよ」チームに負けてしまった。 そうなると、決勝戦での応援は男バス部が有利になる。
なぜなら、凄く鍛えられてはいるけど外見はチビデブヒョロヒョロ三人組なのだ。
全校生徒と一般参加者 PTA あまりもの盛況に会場整備に来た教職員と藤原先生 みんな男バス部が負けるものと思っていた。7名の選手と二人のマネージャーと二人の友人、そして監督以外は…。

漁協の人たちの応援がすごかった。地鳴りのような声で、BGMの重低音を上回った。

結果は、圧勝だった。 3人のスピードは早過ぎた。強靭な足腰でジャンプ力も増していた。
なにより、ずーっとボールを持てなかった欲求不満。頭の中で攻撃のシミュレーションを考える時間。すべてが爆発した。 辻の3ポイントシュートは美しかった。 吉川と立岡のドリブルは巧みだった。シュートが決まるたびに物凄い声が上がった。
スクリーンプレイからの展開は教科書のようだった。なにより、正三角形ではなく直角二等辺三角形にポジションを取ることで、ディフェンスに大きな穴をあけることができる。簡単な理論だった。

網津高校男バス部は体格差を理論と技術で縮めつつあった。中学校県大会出場経験者はトータルで5点しか得点できなかった。最初は、弱そうだから応援するという観客が、強くてかっこいいから応援するという風に変わっていった。

後片付けを手伝ってくれた漁協の人たち、「今度は俺達のチームと戦ってくれよ!」漁協青年部バスケットボール部から試合を申し込まれたのも嬉しかった。
なにより、辞めていった生徒が悔しそうな顔をしながらも握手を求めてきたことが嬉しかった。
網津高校男子バスケットボール部という名前は、少なくとも校内と一般公開に来た人達にとって心に残った。

連敗記録阻止にはならないけれど、網津高校男子バスケットボール部の久々の勝利だった。



そして…

「で、いくら売れたんだ?」

たこ焼き100円セットが86パック
200円セットが…えっと187パック
150円セットが…220パック
ロシアンルーレットたこ焼き300円が196パック

ペプシネックス120円が…165杯
 リサイクル100円が…え!523杯!
 水道水80円が…212杯です 

売上計…226,860円です!

二週間の休みで 吉川と水野と立岡の 膝や肘や足首にたまっていた疲労は完全に癒されていた。



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Posted on 2010/11/16 Tue. 18:31    TB: 0    CM: 0

もしも高校バスケットボール部マネージャーがPerfumeのライブを観たら その4 

「問題は、経験不足だ。」

「江部薬子工業との試合は、監督の吉岡が後輩だったから実現したが、おまえたちの戦績だと練習試合を組むのも難しい。」

田中監督は選手にそう告げた。 根岸も床に座り、鉄アレイで腕を鍛えながらその話を聴いていた

「もう、頼み込んで練習試合を組むのはいやだ。俺はやらない。」

「これからはお前たちの実力で、練習試合を申し込まれるくらいになれ!」

「はい!」キャプテン辻は大きな声で返事をした。

「そこでだ、はなちゃん! 君はこいつらに徹底的にドリブルを教えてくれ。」

「え?私がですか?」

「そう、お前たち、はなちゃんの言うことは俺の言うことだ。逆らうなよ!。」

「はい!」全員が直立不動でその命令を快く受け入れた。

はなはとても嬉しかった。だって、身長というハンディだけで諦めていたバスケが出来るのだ。

でも… あの嫌な気持ちがぶり返すかもしれない

 そう思っていたはなに監督はカラーボールを手渡した。

6号球。中学女子が使うボールの大きさだ。

懐かしい感触。中学三年生の引退試合に出られなかった悔しさよりも、皮の心地よい感触のほうが優っていた。

バスケットボールができるの?していいの?…顔を上げて監督を見た。

監督は不器用なウインクをして笑顔だか、ひきつけだかわからない表情をつくっていた。

「あの ありがとうございます…でも…」

「なに?男子と同じボールがいいか?」

「いえ 違うんです 私を はなちゃんって呼ぶのは…」

照れ隠しに、気になっていたことが言葉になった。

「だめ はなちゃんは はなちゃんだ。」

そういって監督は背を向けて選手に号令をかけた


実は はなは 自分の名前が大嫌いだった。

お母さんもお父さんも大好きだがこの名前だけは気に入らなかった。

いえ うそ 本当は大好きな名前だった。

でも、中学入学時にさんざん馬鹿にされた。

それから自分の名前を恨んだ。

せめて、漢字だったら良かったのに…



「よし、一日の仕上げだ。まずは、全員、はなちゃんとマンツーマンだ。 はなちゃんからボールを奪えたら合格だ」

「本気を出せよ! はなちゃんを甘くみたら許さんぞ!」

監督はそういった。

「うぉーー! 」と選手が奇声を上げた。

ちょっとだけ怖かったが、その気持がはなを本気にさせた。





「はなちゃん どうしたの?こんな遅くまで…」

「お母さん、ごめんなさい。携帯電話の電池が切れちゃって連絡できなかったの」

「大丈夫?ずいぶん疲れた顔しているけど…」

「ありがとう。大丈夫 疲れたのは疲れたけど… はぁー疲れた!」

「今日はカレーでよかった?。食べるでしょ?」

「うん でも、まずシャワーを浴びたい。」

「いいわよ。果物も切っておくわ。」

はなは汗で汚れた体操着を洗濯籠に入れて、それから浴室に入った。

はなの家はそれほど裕福でもないが貧しくもない。

両親とも仕事を持っており、欲しい物を言えばなんでも買ってくれる。

でも、はなは贅沢を言わない子だった。

中学で、部活のみんなが有名メーカーのニューモデルで高価なバスケットシューズをお揃いで買うというときも、もったいないからという理由で、旧モデルの廉価なバスケットシューズを購入した。

そういう性格が、仲間はずれの原因だったかもしれない。

だけど、はなは両親が懸命に働いていることを知っていた。

だから、無駄遣いや贅沢を言わなかった。高校での新しい体育用シューズの購入をせずに、中学の頃、おばあちゃんに買ってもらったバスケットシューズを使うことにしてたのもそういう理由だ。

シャワーを浴びながら、今日、バスケットシューズを持って行ったのも何か運命かも?と思いながら

はなは、愛子に聞かせてもらった曲のメロディーを歌いながらシャワーを浴びた。



はなの低く速いドリブルチェンジからボールをカットするのは難しかった。

選手たちは自然と腰を下ろしたディフェンスになり、相手が女の子だから身体接触をしないように細心の注意を払いながらスティールを試みた。

結果、アニメガネ7番の立岡だけが、制限時間内に、はなからボールを奪えた。

ただし、全員相手にしたはなが疲れて足がもつれたからだ。

監督は腕組をしながら満足そうにその風景をみていた。

根岸は、愛子と特別メニューをしながら、コートのはなが気になってしかたがなかった。



「おかあさん!いまあがるよ!」

母親は、洗濯籠からはなの体操着を取り出しながら、久しぶりに聴くはなの鼻歌を聴いて微笑んだ。

あの子は入学以来、どんどんどんどん暗い表情になっていった。

でも、今日は疲れたと言いながらも明るい表情で帰ってきた。

そう、小学生の頃にミニバスをしていた頃の表情で…。

はなの母親は必要以上に大きな声で浴室に向かって叫んだ

「はなちゃん!よかった!。ちょうどお父さんも帰ってきたよ!」


食卓に戻ると、父親がニコニコして座っていた。

「一緒にごはんを食べるのは久しぶりだな。」

「そうだね。久しぶり。」

「なによりも、はなのそんな表情は久しぶりだよ。」

「え?」

「そうよ。おかあさん、ずーっと反省していたの。」

「なにを?」

「はなを無理やり網津高校に入学させちゃって…」

「そんな…」

「お母さんもお父さんも、はなの暗い表情に胸を痛めていたんだよ。」

涙がこぼれた。

そんな顔していたんだ。そして、それについて何も言わず、自分たちが反省していただなんて…。

はなは頭を机にゴツンとぶつけてそのままの姿勢でいった。

「お父さん、お母さんごめんなさい。もう大丈夫です。いえ、はなを網津高校に進めてくれてありがとうございます。」

その日のカレーの味を一生忘れないと思った。



翌日、遅刻しそうになって全力で駅まで走った。

太ももが痛かった。筋肉痛だ。身体が鈍っていたとはなは思った。

合気道で使う筋肉とバスケットのそれとはぜんぜん違うのだ。

それでも、男の子みたいに全力で走った。

筋肉の痛さと風の心地良さが不思議な感覚を与えてくれた。

電車で座れたらいいけど…無理だしなぁ

そう思いながら改札を抜けてホームに出ると5番の市谷先輩が立っていた。

「おはよう!」

「あ おはようございます!」

「電車、間に合ってよかったよね。ちょと焦っちゃった。はなちゃん休むかと思って…」

はなが返事をしようとしたところに電車が轟音を立てて入ってきた

乗り込むといつもより満員だった。

市谷先輩はドアに両手をついて、はなを守る姿勢になった。

おかげで、学校までとても楽な姿勢でいることができた。

でも、市谷先輩はものすごく辛かったと思う。

降り際に市谷は呟いた。

「こりゃ、きついペナルティだな~」

「え?」


そう。はなからボールを奪えなかった者は、通学時にはなと愛子を満員電車の中で守るというペナルティが課されていたのだ。

「ペナルティっていうより、これは特訓になるな…」

市谷のちいさなつぶやきを、はなは聞き逃さなかった。


網津男子バスケットボール部の朝は早い。

市谷は毎朝のように、自宅からはなが乗車する駅まで2kmの距離をランニングしていた。

他のメンバーも、一番遠い9番吉川が7kmで、一番近い立岡でも4kmをランニングで通学していた。 7時には学校に集合して8時15分まで体育館でひたすらシュートを打っていた。

朝食をしっかり食べないと許さないという監督命令があったから朝5時には起床しているはずだ。

昼休み体育館は全校生徒が利用するので、生徒玄関のすぐ外でパス練習をしていた。
雨の日には、なんと廊下で腕立て伏せと腹筋、背筋を鍛えていた。

昼ごはんはいつ食べるかというと、3時間目と4時間目の休憩時間にとっていた。

授業時間中に集中して勉強をしろ!というこれまた監督命令で、居眠りすることなんてもってのほか。授業時間に集中できないような奴は、過酷な試合中の集中なんて絶対にできない!というのだ。

3時半に6時間目が終わり、清掃や講習などに参加して5時に体育館集合。
週に3回しか男子バスケットボール部に割り当てされていない。そこで体育館が使えない日は、ひたすら筋力トレーニングとアジリティという瞬発力の練習を繰り返していた。

体育館で練習が出来る日も5時半から7時半までの2時間である。急いで片付けて8時には学校を出ないといけない。はなと愛子は住んでいる方向が違うので学校で分かれる。

はなも愛子も家に辿りつくのは10時ころになってしまう。だが、選手たちは学校から走って帰っていたのだ。 だから、やっぱり授業中に勉強をしっかりとやらないと、試験で点数が取れない。

田中監督は、ひとりでも試験の成績が悪ければ、公式戦には申し込まないという掟を作っていた。

過酷な毎日だった。愛子はその生活になれるまで大変だった。

でも、はなにとっては充実感がある毎日が楽しかった。中学校の時の練習に比べたら耐えられないことはない。

 はなのボールをカットできなかった部員も、市谷と藤子をのぞいてほぼ全員がマンツーマンではなと良い勝負ができるようになってきた。もともと、進学校で頭の良い生徒なのだ。集中して技術をみにつけ、論理的に正しく身体を動かせるようになるための鍛錬を嫌っていなかった。

 奈央と佳子は、うらやましそうに時々練習を覗きに来ていた。根岸と愛子は特別メニュー。

はなちゃんは男子生徒を相手にバスケットを楽しんでいる。

 奈央と佳子は置いて行かれたようで、少しさみしさを感じていた。自分たちもなにか打ち込めるものが欲しいと思った。





大堀中学校の門の前で並んだ6人の表情は真剣そのものだった。

はなは愛子の後ろに隠れるようにしていた。根岸は少し遅れて父親の車で送ってもらってきた。

自分の母校の校門が懐かしかった。ほんの3ヶ月ほど前のことなのに。

網津高校男子バスケットボール部の練習試合相手は、はなが入部していた大堀中学校女子バスケットボール部

そう、中学生女子を相手に練習試合することになったのだ。

いくらなんでも無茶すぎる

高校男子と女子中学生の試合だなんて…

絶対に大堀中学女子が勝つに決まっている と思っているのは、はなだけだった。

他のみんなは、相手が女子で女子中学生なんだから絶対に勝てるといっていた。

手加減するようなプレイは田中監督は許してくれないと…

だれも知らないんだ。大堀中学女バス部は、今年の県大会で3位の実力がある強豪校であり、現在のチーム平均身長は176cmなのだ。

網津高校の平均よりも遥かに高いのだ。

校門に見覚えのある顔の河合先生がやってきた。

そう、三年間、はなをベンチ入りさせてくれなかった先生だった。

「田中先生 お久しぶりです。」

「申し訳ない 怪我させないように十分注意してあるから お願いするよ。」

「いえいえ、とんでもない。付近の男子チーム相手で慣れていますから。」

「そういってくれると嬉しいよ。頼みますよ」

田中先生は、河合先生に頭を下げた。

河合先生はおろおろしながらいった

「やめてください 頭を上げてください」

田中先生のお辞儀は深くて長かった

なぜか愛子も一緒に頭を下げていたので、はなも頭を下げていた。

河合先生が自分に気づいていないのか、気づかないふりをしているのかは、はなにはわからなかった。


懐かしい体育館だったが、なぜか冷たい感じがした。

もう初夏で気温は高いのに、寒く感じた。

後輩たちは、はなに気がついていたが誰も挨拶をしなかった。

胸がぎゅっと掴まれた感じで気持ちが悪くなった。

「どうしたの?はな?気分でも悪いの?」

「ううん なんでもない…」


試合開始 傍から見れば、女子高の強豪校と弱小中学男子チームとの試合が始まるように見える。

だが、なぜか網津高校の選手の顔は自信に満ちていた。

前々日から6号球で練習をしていたので、ハンドリングには違和感がなかったようだ。

しかし、根岸を欠いてこのメンバーで大堀中学と良い試合ができるだろうか。

そりゃ、田中監督の練習は厳しかった。でも江部薬子工業との試合後は、練習メニューはドリブルの基礎とスリーメンの練習。それに、はなとの1対1しかやっていなかったのだ。

勝てるわけがない。身長差10cmというのは大きい。

バスケットは高さがモノをいうスポーツなのだ。はなはそう思っていた。



試合開始直後、大堀女子バスケ部の河合監督の表情が変わった。

網津高校はスピードだけで勝負した。早いパスワーク。

ドリブルで一気に背の高い選手を抜きレイアップに持っていく。

プッシングを期待したディフェンスに対しても、見事なドリブルチェンジで対応した。

巧くファールを誘い、素早い連携は相手のディファンスを悩ませた。

それだけではなく、ドリブルカットが多かった。

はなを相手にしたドリブルカット練習を積んだ彼らにとっては、まるで中学生の女子を相手にしているようだった。

身体接触なしで軽々とカットしていくのは見ていて痛快だった。

またキャプテンの力士…ではなく辻がすごかった。

ハーフラインを少しこえたポジションから3ポイントシュートを打つのだ。

5本に1本くらいしか決まらないのだが、ものすごく高い軌跡を描くボールはディフェンスの意表をつくのに十分だった。

ただひとり女子の身長に辛うじて対抗出来る170cmのメガネなし帰宅部はなの用心棒5番市谷が絶妙なタイミングで相手リバウンダーの内側に入り込む。

ボックスといって相手を抑えつけた状態で、目の前にボールが落ちるまでジャンプしない。

不用意に相手がジャンプして上空でボールを奪おうとすると、タイミングをずらして少しジャンプをしてファールをもらう。 

市谷はボールを確保すると、タイミングをずらしてシュートする。背後からも前からも不用意に手を出すと、巧くシュートファールをもらえた。

市谷は辻と二人で組んで練習後や休みの日には、その練習ばかりしていた。そして、なにより満員電車での、激しい押し寄せに対して、どのスタンスが自分の姿勢を崩さず対応できるかということを練習をしていたのだった。

中学校女子県大会3位の実力の壁は厚かったが、なによりも網津高校のディファンスが良かった。

べつに難しいことをしているのではない。いや、体力のない選手にとっては難しいことかもしれない。

ハンズアップをしっかりとする。ただそれだけのことなのだが、網津高校はしっかりと両手を上げ続けていたのだ。

ドライブしてくる相手にも手をあげながらのスライドストップ。

小柄だがしっかりと筋肉のついている男子生徒を抜くことは難しい。

第2ピリオドに入るとセンターライン付近からの、辻のスリーポイントシュート成功率は50%を超えはじめた。

もし、誰かが辻にプレッシャーをかけようと飛び出たら、そのディフェンスをかわしてワンドリブルでフォワードにパスを出す。
辻はパスアンドランでディフェンスを置き去りにする。後は4対5の状況を作り出し速攻を決めてしまう。

このような戦い方をする相手に慣れていなかった河合監督の指示は後手後手になった。

アニメガネ7番の立岡が運んできたボールを辻にパスすれば、かなり離れた場所からスリーポイントシュート。辻にマークがピッタリとつくと、ハイポと呼ばれるフリースローラインに付近飛び出たメガネ帰宅部8番水野に向かってかなり高い位置のパスが送られる。
水野はそのボールをジャンプして掴むのではなくタップで左の立岡か右の吉川にパスする。
パスをしたあと、水野がすぐに切れこんでリターンパスをもらってレイアップする。もしくは吉岡、立岡がワンフェイクを入れてジャンプシュートする。そのパターンの連続だった。

早い展開で第2ピリオドが終わったときには67対57とハイスコアのゲーム展開で優勢だった。



「おい市谷、お前、よくあれだけ発達した女体と接触して平気でいられるな…」

ハーフタイムで、吉川がいった。

「なにが?」

「だってよ、お前、中学生とはいえ…なぁ?」

吉川は辻キャプテンに同意を求めた。

キャプテン辻には、吉川の声は全く聞こえなかった。
力士のような体格ながらも非常に柔らかいシュートフォーム。
辻は目をつぶり無心に繰り返しシュートフォームの修正をしていたのだ。

吉川は反対の席にすわっている1年生の、水野に顔を向けた。

水野はメガネを拭きながら、横目で一瞥して

「吉川先輩 不純です 今試合中です 男も女も関係ありません。」

そういってベンチにいる藤子にディフェンスのアドバイスを求めた

その様子を見ていた副キャプテンの立岡が、スコアの確認を終えたはなと愛子に聞こえるように言った。

「まぁ、エロDVDを数十枚隠し持っている吉川だけだよ。そんなふうに思うのは…試合に差し障りがあるから、次のピリオドから藤子と交代だな。」

「ちょっと待ってよ、俺は純粋な質問をしただけで…ねぇ ねぇ 誤解しないで…愛子ちゃん はなちゃん!」

弁解しようとした吉川を愛子は睨みつけ、はなは吉川を完全に無視した。

一番ドリブルが下手でパスカットも出来ない市谷。彼は毎日のように満員電車内ではなを守っていた。もちろん通勤電車だから大人の女性もたくさんいる。

市谷も最初の頃は大人の女性との接触が気になっていた。だが、はなを守るという使命感のほうが強くなり、今では全く気にならなくなっていた。というのも、毎日一緒に通学しているうちに、市谷は、はなに好意を寄せるようになっていたからだ。

第3ピリオド3分前になった。
田中監督は「藤子、吉川と交代。吉川、はなと一緒に廊下でシャトルラン10本走ってこい!」と告げた。

「え? 監督? スコアは? 私がいないと愛子はスコア書けないので…」はなは口答えした。

「根岸が暇そうだから、根岸にやらせる! はなちゃん 監督の命令に口答えしたから… はなちゃんもシャトルランをしてきなさい。」

「えええ!」

あまりにもの展開に、吉川は弁明できるチャンスを失ってしまった。

二人が体育館を後にした瞬間に、試合開始のホイッスルが鳴った。

吉川は、突然走ると危ないからストレッチをしろとはなに命じた。

ふてくされて出場することを諦めたのか、一緒になって吉川もストレッチに付き合った。

「あ~あ 初勝利の試合でコートにいれないなんて…俺はなんて不幸なんだ。」

吉川は文句ばかり言っていた。

だって、中学生って言ったって…あんな… おっとはなちゃんごめんごめん…

本当に吉川はスケベそうだった。絶対にロリコンアニメのファンだと、はなは決めつけてしまった。

それでも少し助かった気がしていた。

ストレッチが終わり、長い廊下でシャトルランを始めた。

体育館でのあの重苦しい思い出が、網津高校の選手がシュートを決める音を聞くたびに、すこしずつ消えてゆくような気がしていた。

しかし、ハーフタイムに入ってオフィシャルテーブルにスコアの確認に行ったときに、大堀中学の現キャプテンが、はなにむけてこう言ったのだ。

「あれ~ぇ はな先輩じゃないですか。あんまり小さかったからわからなかった~ぁ。」

後輩たちが一緒に笑い声を立てた。

はなの心臓がドキドキと大きな音を立てた。

やっぱり来るんじゃなかった。

帰りたい。そう思った。

あれ…もしかするとあんなに離れて選手に指示を与えていたのに、田中先生はそのことに気づいて…

まさか… まさかね…

はなは、考えることをやめて走ることに熱中することにした。



大堀中学は、170cmのガード8番の選手をのぞいて残り四名を180cm以上の選手に換えた。

網津高校の速い動きにつられることなく、ゆっくりと時間を使って、身長差を使ったオフェンスにかえたのだ。 ディフェンスも8番のガードが7番立岡にプレッシャーを掛けて時間を稼ぎ、ゾーンディフェンスを形成した。

辻の他にスリーポイントシュートを打つ選手がいない網津高校は苦戦した。

また、吉川に変わった藤子はスピードこそあるが正確なプレイが出来なかった。

ボールを保持しすぎて、全体の攻撃スピードが崩れだした。

ハンズアップをちゃんとするようになった大堀女子は、身長差と手足の長さで上空を制した。

点数差が縮まり、やがて逆転された。77対81 

第3ピリオドで大堀中学女子バスケットボール部は完全に調子を取り戻した。

はなと吉川がベンチに戻ってきた

「根岸先輩ありがとうございました。私、代わります。」

「いや、俺がスコアを書く。ほら、監督が呼んでるぞ。」

監督を見ると、ニコニコしながらおいでおいでと手招きしていた。

吉川と一緒に監督の近くに行くと、監督はこういった。

「そろそろ交代だ。準備しておけ。あ 吉川じゃないよ。 はなちゃんだ。」

「え?」

「はいユニフォーム。」そういって愛子が手渡してくれた番号は根岸の番号である6番だった。

「ええ?」

「大丈夫、これは一昨年までのユニフォームでとても小柄な先輩が使っていたやつなの。」

それはうそだとすぐに気がついた。はなの手にしたユニフォームは新品で女子Sサイズだった。

「文句も意見も聞かないぞ。第4ピリオドからフルで出るぞ。急いですぐに着替えてこい。」

監督がそう言い終わったときに第3ピリオド終了のホイッスルが鳴った。

はなが女子トイレで急いで着替えた。トイレの外には吉川がはなのバスケットシューズを持って立っていた。

「はな、おもいっきりバスケットを楽しんでこい。俺の分まで…」

完璧な計算だったのだ。

吉川の発言 それに対するベンチの反応 根岸がなぜスコアシートを書く机に座っていたのか…

愛子がなぜ前日の練習の後、はなちゃんと同じバスケットシューズが欲しいから貸してと、無理やりシューズを持っていったのか…。

大堀中学校と練習試合をすると知らされたのは今日の朝だった。

今までの重い空気が消えた。

全部、全部、私のため

「はなちゃん 勝とうぜ!」

吉川は、泣きそうになっているはなの背中を思い切り叩いた。



「河合監督 お世話になりました 憶えておられないでしょうが、今年卒業しました、はなです。」

「あ…うん 覚えているよ。」

「今日はすぐに挨拶しなければいけなかったのですが、挨拶遅れて申し訳ありませんでした。」

はなは大きな声でそういって背を向けて、仲間の元に戻った。

連敗記録は更新された。86対88 

最後の2分でオールコートマンツーマンプレスを仕掛けられて、8番1年生の水野が慌ててしまったのだ。

バスケット初心者だから仕方がない。時間ギリギリで彼は相手にパスをしてしまい、負けたのだ。

水野はわんわん泣いていた。悔しい悔しいと大きな声で叫んでいた。

はなは思う存分コートの中で暴れた。背の高い後輩を低く早いドリブルで抜いて、低い位置のパスをビシバシ決めた。

4番キャプテン辻がスリーポイントを決めたのも、はなのスクリーンプレイや的確で素早いリードパスのおかげだった。

スクリーンのため、ボールマンのマークの選手から少し離れて背後に立っているはな。それが見えないプレイヤーはボールマンのドリブルに気を取られてはなにぶつかる。はなは両足を動かさないで倒れた。それだけでチームファウルを5つも稼いだ。
大堀中学は、はなのドリブルをカットしようとしてプレッシャーをかけてくるのだが、はなは見事に交わしてしまう。いらついたディフェンスは身体をぶつけてしまい、華奢なはなは豪快にはじけ飛んだ。それでファールを4つ稼いだし、相手ガードは5ファールで退場になってしまった。

試合には負けて水野は号泣だったが、残りの全員は、はなの笑顔に大満足だった。

あ然としていた河合監督に田中監督は言った。

「私が監督なら、あんな天才的なガードを無駄にしなかったな。彼女を中心にチームを作っていたら県大会1位も夢じゃなかっただろうね。高さだけで勝負できるほど、バスケットボールは浅くないよ。河合くん。じゃぁ今日はありがとうね。」

監督 はな 愛子 そして、7人の選手はとても長く深いお辞儀をした。


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Posted on 2010/11/15 Mon. 20:51    TB: 0    CM: 0

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